2004 Fiscal Year Annual Research Report
次世代免疫療法を想定した治療用腫瘍細胞バンクの開発
Project/Area Number |
15390380
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
林 純 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20150443)
野瀬 善明 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20038920)
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Keywords | 治療用腫瘍細胞 / 腫瘍細胞バンク / 免疫療法 / ワクチン療法 / 難治性固形腫瘍 / エクソゾーム / 他家腫瘍細胞ワクチン |
Research Abstract |
本研究の目的は、輸血の安全基準に準じた治療用の腫瘍細胞バンクを作り上げることである。治療用腫瘍細胞の基準は、1)腫瘍提供患者さんが供血者としての基準を満たしている。2)培養のいかなる過程においても、輸血血液の基準を満たさないヒト血清および異種血清との接触がない。3)樹立された細胞が輸血用細胞の基準を満たしている。という条件を全て満たすことであり、バンク用細胞の条件は、1)他のヒトの治療用に用いることを文書で同意を得ることである。 本年度の成果は、 (1)6名の癌性胸腹水患者さんから自己治療を目的とした腫瘍細胞株樹立の同意を得た。16症例中3例で腫瘍細胞バンクへの登録の同意を得、細胞株が樹立された。昨年度同様、残りの2例においては、腫瘍細胞分画を準治療用腫瘍細胞として登録、保存した。 (2)登録された腫瘍細胞は、HB,、HCV, HIV, EBV、梅毒、マイコプラズマ等の感染のないことが確認され腫瘍細胞バンクへ登録した。 (3)昨年度登録された2症例において、凍結保存1年目の腫瘍細胞の増殖性、腫瘍関連分子発現プロファイルをチェックしたが凍結保存による有意な変化は認められなかった。 (4)自己腫瘍細胞刺激樹状細胞によるワクチン療法(免疫監視機構構築療法)を実施中の症例においてワクチン療法後の末梢血中の自己腫瘍細胞反応性リンパ球増加をIFN-g ELISPOT法にて解析中であるが、自己腫瘍細胞の代わりに腫瘍細胞バンクの他家腫瘍を用いてELISPOTアッセイを実施した結果、検索した3例中、2例が自己腫瘍細胞の代わりにバンク細胞の使用が可能なことが示唆された。 (5)腫瘍細胞バンクに登録された腫瘍細胞を用いて行った「他家腫瘍細胞による免疫監視機構構築療法」において抗腫瘍免疫反応は維持可能であり、特別の有害事象は認められなかった。 また、本研究テーマには含まれていなかったが、本研究を通して樹立された腫瘍細胞株が分泌するエクソゾーム(直径100nmの微小小胞)がワクチン療法の免疫原として応用可能なデータを得た。現在、エキソゾームを用いたCell-freeシステムによる次世代の免疫療法を開発中であるが、腫瘍細胞バンクはGMPグレードのエキソゾーム供給原として期待しうる。
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Research Products
(6 results)