2003 Fiscal Year Annual Research Report
全液体呼吸のVentilator開発、およびその至適呼吸条件の解明に関する研究
Project/Area Number |
15390416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 信義 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90108150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟久保 昭夫 東京電機大学, 理工学部・電子情報工学科, 助教授 (00307670)
永広 格 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00311803)
青江 基 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80260660)
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Keywords | 液体換気 / 呼吸補助 / 人工呼吸 / 医療器械 / 医療工学 / 呼吸生理 / 呼吸条件 / 動物実験 |
Research Abstract |
【緒言】急性呼吸不全症候群(ARDS)に対する治療としては現在のところ人工呼吸器の使用が中心であり、人工呼吸器を用いても改善が見られない重症例には体外式膜型酸素化補助装置(ECMO)による治療が施行される。しかし、その成績は不良である。そこで、ECMOに代る治療としてTotal Liquid Ventilation(TLV)が期待されている。TLVでは酸素溶解度が高く表面張力の低い液体(Perfluorocarbon、PFC)を用いるため、虚脱した肺胞へ入り込み再開存させ、ガス交換能や肺コンプライアンスの改善が可能である。しかし、TLVでは特殊な装置が必要であり、現在までに種々な装置が考案されているが実用的なものが存在しない。本研究ではTLVシステムを開発し、ウサギ肺においてガス交換能を評価したので報告する。【方法】人工肺、ピストンポンプを含んだPFC循環回路(充填量650ml)およびピストンポンプ駆動装置からなるTLVシステムを開発した。駆動装置にはステッピングモータを用いているため、正確な流量制御が可能である。日本白色種ウサギ、3198±31g(n-4)に気管切開と頚動脈からのカニュレーションを行い、通常の呼吸器を用いて10O%酸素ガスで20分間ガス換気した。気道・肺内に気管チューブから酸素化したPFCを注入し、TLVシステムに接続して呼吸数5回/min、一回換気量18ml/kgでTLVを開始した。呼吸条件を一定とし、動脈血液性状、頚動脈圧,および気道内圧を3時間測定した。【結果および考察】動脈血のPO2は259±45.8mmHgで維持され、大きな変化は無かった。PCO2は52.0±3.09mmHgで、経時的に若干の上昇が見られた。二酸化炭素の排出がやや不十分であり、呼吸回数や一回換気量を増やすなどの検討が必要であった。頚動脈圧は生理的範囲内の80-120mmHgであった。気道内圧は-510mmHgに維持され、気道の狭窄は確認されなかった。【結言】ウサギ肺において3時間ガス交換が可能であった。今後呼吸条件等を検討する必要があるが、本システムはTLVの実用化に向け有用であると考えられた。 なお、上記の研究成果については、第41回日本人工臓器学会大会、第42回日本エム・イー学会大会、Annual Meeting of American Society for Artificial Internal Organs,2003にて概要、進捗状況について発表したが、研究初年度であり、投稿予定はあるものの、現在までに紙上にて発表された成果はない。
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