2004 Fiscal Year Annual Research Report
全液体呼吸のVentilator開発、およびその至適呼吸条件の解明に関する研究
Project/Area Number |
15390416
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 信義 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90108150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青江 基 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80260660)
舟久保 昭夫 東京電機大学, 理工学部電子情報工学科, 助教授 (00307670)
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Keywords | 液体換気 / 呼吸補助 / 人工呼吸 / 医療器械 / 医療工学 / 呼吸生理 / 呼吸条件 / 動物実験 |
Research Abstract |
【研究背景】現在、重症呼吸不全患者に対する治療法として、人工呼吸器による治療や体外式肺補助などが行われているが、十分な治療効果が得られない場合が多い。そこで、新たな治療法として液体呼吸法が注目されている。液体呼吸とは、酸素ガスの代わりに酸素溶解度の高いPerfluorocarbon(以下PFC)を用いる人工呼吸法である。PFCは酸素溶解度が高いため十分なガス交換ができ、さらに、表面張力が低いため、虚脱した肺胞に入り込み再拡張させることが可能である。【方法】日本白色家兎に、完全液体呼吸システムを接続し液体呼吸を開始した。動脈圧、気道内圧および15分ごとに採血を行い、動脈血液ガスを測定した。【結果】3時間の液体呼吸を行ったところPaO2は80mmHg以上あれば正常であるが、平均200mmHgを超えており、酸素化が十分行われていた。PaCO2の正常範囲は35-45mmHgであるが、平均56.4mmHgであり、二酸化炭素の排出が不十分であった。【考察】PFCは、O2、CO2の拡散速度が遅いために、PFC中のCO2の排出が困難であり、血液中のCO2は正常範囲を超えてしまったと考えられる。そのため、PFCと血液中のCO2間の分圧差を常に高い状態に保ち、生体肺における二酸化炭素のガス交換率を上げる必要がある。そこで、我々は、高いガス交換能を持った液体呼吸用の人工肺の開発を行った。新たに作製した人工肺は、PFCの流入に対して直列に膜面積1m2の人工肺を2個または3個接続し、それぞれの人工肺に100%酸素ガスをガス流量1L/minで潅流するという新たな方法を用いた。また、各人工肺における酸素ガスの通過距離を短くすることで、常に人工肺内でのPFC中のCO2とガス側のCO2が高い分圧差を持つようにした。そして、連続的に行うことで、PFC内の二酸化炭素濃度を限りなく0mmHgに近い状態に保っことを可能とした。今後、作製した液体呼吸用人工肺を用いて同様の実験を行い、動脈血液ガス分圧の面から従来の人工肺との比較検討を行い報告する予定である。なお、上記の研究成果については、第42回日本人工臓器学会大会、第43回日本エム・イー学会大会、Annual Meeting of American Society for Artificial Internal Organs,2004、第33回膜型人工肺研究会、第20回ライフサポート学会大会にて概要、進捗状況について発表したが、現在までに紙上にて発表された成果はない。
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