2003 Fiscal Year Annual Research Report
再生組織工学の手法を用いた頭頸部における臓器再生の研究
Project/Area Number |
15390517
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大森 孝一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10233272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 靖宏 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70363760)
桑畑 直史 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70336460)
小川 洋 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70264554)
中村 達雄 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (70227908)
金丸 眞一 京都大学, 医学研究科, 助手 (30324643)
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Keywords | 再生 / 頭頸部 / 気管 / 喉頭 / 組織工学 |
Research Abstract |
基礎実験1.生体適合材料の作製と頭頸部における臓器の形態保持 自己組織再生型の人工材料の形状は円筒状およびシート状で、マーレックスメッシュに組織親和性を高めるためにコラーゲンスポンジを付加した。 機械的圧縮試験では、再生組織は正常組織と同等の支持力を示し、甲状軟骨については声帯の隆起は不十分であるが枠組みは形成できた。 基礎実験2.骨髄間葉系幹細胞のコラーゲン内での3次元立体培養 ビーグル犬8頭を用いて大腿骨より採取した骨髄を培養し、シャーレの底面にシート状になった細胞のみ選択的に増殖させた。また、これらの細胞が中胚葉系細胞のうち大半が造血系細胞を含まない間葉系細胞であることを確認した。 この細胞を、1%HCLアテロコラーゲン内で3次元培養を行った。 応用実験1:実験にはビーグル犬13頭を用い、5頭は輪状軟骨約1/2周を切除、3頭は輪状軟骨と気管を約1/2周切除、5頭は喉頭部分切除を行った。人工材料は,気密性と血液内の循環調節因子の働きを期待し、自己血液で湿潤させてから、欠損部に合わせて形状を調節し吸収糸で縫合した。術後、3ヵ月から20ヵ月の観察で、全例喉頭の内腔面は上皮に覆われていた。全例で気道は十分保たれ、人工材料は生体組織に取り込まれ、内腔には線毛上皮の再生を認めた。 応用実験2:傷害を加えた声帯に3次元培養した骨髄間葉系細胞と1%HCLアテロコラーゲンを注入した1群と、1%HCLアテロコラーゲンのみを注入した2群で比較すると、明らかに1群の治癒機転が良好であった。1%HCLアテロコラーゲンは間葉系細胞増殖に適切な足場となることが確認された。 気管に関しては十分臨床応用可能な結果が得られていることから、京都大学医学部倫理委員会の承認のもと、世界初のヒト頸部気管の再生治療を行った。術後、10ヵ月の時点では再建した内腔は上皮化し良好な経過である。この結果を科学雑誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Omori K, et al.: "Cricoid Regeneration Using In Situ Tissue Engineering in Canine Larynx for the Treatment of Subglottic Stenosis"Annals of Otology, Rhinology & Laryngology. (accepted). (2004)