2004 Fiscal Year Annual Research Report
再生組織工学の手法を用いた頭頸部における臓器再生の研究
Project/Area Number |
15390517
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Research Institution | Fukushima Medical University, School of Medicine |
Principal Investigator |
大森 孝一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10233272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 洋 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70264554)
桑畑 直史 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70336460)
多田 靖宏 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70363760)
金丸 眞一 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30324643)
中村 達雄 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (70227908)
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Keywords | 再生 / 頭頸部 / 気管 / 咽頭 / 組織工学 |
Research Abstract |
本研究では頭頸部癌術後の機能障害を最小限にとどめることを最終目標に、再生組織工学の手法を用いて、頭頸部の臓器、特に喉頭、気管の再生に関する研究を行ってきた。 基礎実験として、ポリプロピレンメッシュとコラーゲンスポンジからなる自己組織再生型の生体材料を開発し、骨髄間葉系幹細胞を含む細胞群(BSCs)を選択的に培養する方法を確立した。 応用実験として、ビーグル犬の動物実験でこの生体材料を輪状軟骨、気管の欠損部に移植したところ、気道の内腔上皮と枠組みを安定して再生することができた。有効性と安全性を確認し臨床応用への基礎データを提供した。次に、損傷した声帯にBSCsを移植することで声帯の組織再生をはかった。声帯隆起には喉頭内腔を型どりしたポリプロピレンメッシュシートにコラーゲンスポンジを付加した生体材料を作製し、ここにBSCsを移植したところ、安定した結果は得られなかったが、内腔面が上皮化した声帯隆起を作製できた。 さらに、再生気道の上皮化を加速するために、ラット気管上皮細胞を分離、培養し、コラーゲンスポンジ上で気管上皮細胞を培養した移植片を作製した。免疫染色にて移植した細胞は気管上皮細胞の性質を有した。作製した移植片をラット気管欠損モデルに移植し、創傷治癒、移植細胞の生着について評価した。気管上皮細胞層-コラーゲンスポンジ層のハイブリット構造が確認できた。移植細胞は局所にとどまり、組織再生に影響を与えている可能性が示唆された。 臨床応用としては、倫理委員会の承認の上で、2002年から喉頭、気管の再生治療を開始し、京都大学病院および福島県立医科大学病院で4例に施行してきた。内視鏡、CTなどの評価により全例現時点では経過良好である。本治療は我が国にて世界に先駆けて実現されたことから、国民福祉への寄与が期待され、注目を集めている(報道:平成16年5月9日朝日新聞東京本社朝刊に掲載)。
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Research Products
(7 results)