2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体分解性高分子を用いた脈絡膜新生血管に対する網膜下薬物送達システムの開発
Project/Area Number |
15390528
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
桐生 純一 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80281096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80252443)
宮本 和明 京都大学, 医学研究科, 助手 (90359810)
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 脈絡膜新生血管 / 生体分解性高分子 / 薬物送達システム |
Research Abstract |
目的:加齢黄班変性症など脈絡膜新生血管(CNV)を生じる疾患の治療法として、インターフェロンβ(IFNβ)の薬物療法が研究されているが、局所の薬物濃度維持が困難である点が問題となっている。本研究は、全身・健常組織に影響せず、CNVにIFNβを徐放し、特異的に作用する網膜下ドラッグデリバリーシステムの開発を目的としたものである。 方法:グルタルアルデヒド架橋とアルカリ処理及び酸処理により、等電点を調節した生体吸収性ゼラチンマイクロスフェアと塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)との複合体を経硝子体的に家兎眼網膜下に注入しCNVモデルを作成。IFNβを含浸させたゼラチンマイクロスフェアをCNVモデルの硝子体腔内または網膜下に注入し、脈絡膜新生血管の経時的変化を検眼鏡、蛍光眼底造影にて観察を行った。 結果:コントロール群(n=2)ではbFGF注入後2週間からCNVを確認し、その後、CNVは4〜8週間まで増強・維持し、その後消退。ゼラチンマイクロスフェア網膜下注入群(n=2)、及びゼラチンマイクロスフェアとIFNβ硝子体腔注入群(n=2)では、CNVはコントロール群と同様の経過。しかし、ゼラチンマイクロスフェアとIFNβ網膜下注入群(n=2)ではCNVは消退せず、増殖性硝子体網膜症(PVR)の所見を呈した。 bFGF含浸ゼラチンマイクロスフェア網膜下注入によりCNVモデル作成が可能であった。IFNβ硝子体腔内または網膜下注入では脈絡膜新生血管の改善は認められなかった。今後、さらに脈絡膜新生血管の病態、薬物療法の種類及び投与方法の検討が必要であると考えられた。また、bFGF含浸ゼラチンマイクロスフェア、IFNβ含浸ゼラチンマイクロスフェアの網膜下注入で増殖性硝子体網膜症(PVR)が惹起されたことから、今後、PVRモデル作成により、同病態の解明や新たな治療法の開発の可能性も示された。
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Research Products
(6 results)