2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯科生体材料から溶出する微量物質による細胞損傷とアレルギー反応発現機序の評価研究
Project/Area Number |
15390597
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (60179398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 吉馬 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20005036)
齋藤 設雄 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (70137537)
佐々木 実 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (40187133)
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Keywords | Niイオン / マクロファージ / RAW264 / DNAマイクロアレイ / DNA損傷 / Ti粉末 / 貪食 / 活性酸素 |
Research Abstract |
(1)チタン粉末に対するマクロファージ様細胞RAW264の生体反応に関する研究: チタンは摩耗やFretting現象等から粉末成分を脱離し易く,生体に為害作用を生じることが懸念されている.チタン粉を単分散10μm径に調整し,蒸留水,乳酸とMEM(minimun essential medium)溶液への溶出量に検討を加えたところ、蒸留水中への単分散10μm径チタン粉のイオン溶出量は極めて小さくICPの検出限度以下であった.一方,乳酸中には大量に溶出し15日後の溶出チタンイオン量は9ppmに達した.MEM中へのチタンイオンの溶出量も極めて小さく,0.01ppm程度であった.10μm径チタン粉を配合した培養液中でマクロファージ様細胞RAW264を培養し,貪食過程,細胞生存率とNO産生量に検討を加えたところ、チタン粉を貪食するRAW264細胞の細胞生存率は対照に比べ89.4%であり,NO産生量は対照の91.6%であった. (2)LD_<50>高濃度Ni^<2+>イオンがマクロファージ様細胞RAW264に及ぼす影響評価: LD_<50>高濃度(500μmol/L)のNi^<2+>イオンが生体防御で重要な役割を担うマクロファージ細胞RAW264に及ぼす影響を検討する目的で,活性酸素除去酵素(SOD)活性測定とマイクロアレイを用いた遺伝子発現評価を行った.細胞に対するLipopolysaccharide(LPS)刺激の有無も比較した.その結果,RAW264細胞のDNA量測定から細胞の増殖傾向が判明した.LPS(-)条件下ではNi^<2+>イオン濃度の増加に伴いDNA量が減少し,500μmol/LでDNA量は半減し,SOD活性量は小さく一定であった.DNAマイクロアレイ解析によって,Ni^<2+>イオンが核内DNAを濃度依存的に修飾し,その回復プロセスの不良が細胞死(necrosis)をもたらすことが示唆された.LPS(+)条件下ではNi^<2+>イオン濃度に依存せずDNA量は一定で,自己DNA防御のための細胞周期停留現象が考えられた.LPS(+)条件下でのSOD活性量はLPS(-)条件下よりも著しく大きく,Ni^<2+>イオン濃度の増加に比例して増大する傾向が認められた.DNAマイクロアレイ解析によって,LPS(+)条件下では,炎症性サイトカイン(IL-1β等の)遺伝子や活性酸素除去酵素遺伝子(Mn-SOD(SOD2)等)の発現が顕著であることが明らかとなった.
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Research Products
(6 results)