2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者に園芸療法を適用した看護ケアモデルの開発
Project/Area Number |
15390678
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
安川 緑 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10210246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 茂 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90171941)
伊藤 喜久 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20129026)
森谷 敏夫 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90175638)
大澤 勝次 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20322836)
広井 良典 千葉大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (80282440)
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Keywords | 痴呆性高齢者 / 園芸療法 / 環境の活用と整備 / 園芸療法プログラムの開発 / スタッフ教育と適正配置 / アセスメントとケアプラン / 看護ケアモデルの開発 |
Research Abstract |
本年度の研究では昨年度の研究結果に基づき、HTの適用施設の選定や導入方法、スタッフ教育等に配慮した看護ケアモデル案を作成して再度、痴呆性高齢者グループホームの高齢者にHTを適用し、さらなる検討を加えた。その結果、HTの重要概念ならびに要素の抽出とともに、HTを適用した看護ケアモデルの開発が進められた。以下にその概要を述べる。 まず、HTの効果の検証では次のような結果が得られている。HT適用群のAホーム12名(男性5名、女性7名)の高齢者(平均年齢79.1±4.4歳)の変化として、適用前後における認知機能(MMSE、HDSR)の改善傾向や社会的機能の得点の有意な上昇が認められた。一方、音楽療法適用群Bホーム13名(男性7名、女性6名)の高齢者(平均年齢83.2±5.1)では、心身機能や社会的機能ともに同水準で推移していた。また、定期的なアクティビティケアを導入していないCホーム15名(男性4名、女性11名)の高齢者(平均年齢83.4±7.5)では、精神機能(NMS)や痴呆症状(DBD)の有意な悪化と身体機能ならびに社会的機能(SDRS)の有意な低下を認めた。なお、昨年度の調査結果でも、HTは自然が有するさまざまな要素の活用を基盤として、人間と植物との相互作用を契機に痴呆性高齢者の認知機能の改善や社会的機能を活発にさせることが実証されており、今年度の調査はそれをさらに強化するような内容であった。 特に今回のHTの導入で留意した点として、1.実施場所の環境整備、2.ボランティア・スタッフや職員の教育と適正配置、3.使用する植物の選定、4.痴呆性高齢者に適したHTプログラムの作成、5.HT適用者に対する導入前の説明と合意形成、6.HT適用に関するアセスメントとケアプランの導入の6点が挙げられる。これらの条件を満たすことにより痴呆症者へのHTがさらに効果的に作用すると考えられるが、このほか、身体機能の改善を図るための工夫や活動と栄養に関するバランス等、痴呆性高齢者の日常生活に着目した総合的観点からのアプローチの必要性も示唆されている。 以上、本研究から、痴呆性高齢者へのHTの効果的な適用方法の検討ならびに看護ケアモデルが開発された。今後はこのモデルを適用した効果の検証とともに、HTを適用した看護ケアモデルの洗練が望まれる。
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