2004 Fiscal Year Annual Research Report
グルタメイト脱水素酵素の機能解析:高インスリン高アンモニア血症の発症機構の解明
Project/Area Number |
15390687
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡野 善行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60231213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 浩 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00244640)
川村 智行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60271186)
久野 みゆき 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145773)
宮崎 純一 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10200156)
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Keywords | グルタメイト脱水素酵素 / インスリン / 高アンモニア血症 / 低血糖 / 遺伝子変異 / KATPチャンネル |
Research Abstract |
高インスリン高アンモニア血症はglutamate dehydrogenase(GDH)のGTP結合およびその関連領域の遺伝子異常によりGTPの抑制制御が失われるため、GDH活性の上昇をきたし、肝臓では高アンモニア血症を膵β細胞では高インスリン血症をもたらすと推定されている。インスリン過剰分泌機構を明らかにするため、自験2例のアデノウィルスベクターにGDH遺伝子変異を導入し酵素生化学的解析を行った。GDH立体構造上Pivot helix領域のG446D変異は正常コントロールとほぼ同等の基礎GDH活性とCRMで、アンテナ領域のL413Vは正常の約2倍の基礎GDH活性と同量のCRMを示した。両者ともGTPの抑制効果は著明に減弱し、低濃度ブドウ糖領域で有意なインスリン分泌の増加を認めた。今年度、Min6細胞にリポフェクチン法にてL413V変異とWildを導入し、パッチクランプ法を用いた細胞膜チャネル活性を検討した。L413V変異では細胞膜の脱分極と頻回のCa^<2+> spikeを認めた。さらに、穿孔パッチクランプ法による細胞内液での検討ではL413V変異細胞の細胞内ATP濃度の上昇が示唆された。L413V変異細胞では、グリベンクラミドとジアゾキシドの添加からK_<ATP>チャネルの閉鎖を、そして、塩化ガドニウムとマイトトキシンの添加から非選択性陽イオンチャネルの活性化を認めた。以上の結果から、膵β細胞ではGDH遺伝子変異によってGDHの制御機構が崩壊し、細胞内ATP/ADP比が上昇する。そして、K_<ATP>チャネルの閉鎖と非選択性陽イオンチャネルの活性化による脱分極の結果、細胞外から細胞内へCa^<2+>が流入し、インスリン分泌が惹起されることが明らかとなった。高インスリン高アンモニア血症におけるインスリン過剰分泌機構を初めて明らかにした。
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