2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国・新疆ウイグル自治区の女性と生活環境に関する総合的研究
Project/Area Number |
15402001
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
岩崎 雅美 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (10083057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬渡 章子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (60179348)
宮坂 靖子 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (30252828)
久保 博子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (90186437)
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 講師 (90198119)
村田 仁代 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (90219931)
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Keywords | 新疆ウイグル自治区 / トルファン / ホータン / グマ / キリヤ / ウイグル族 |
Research Abstract |
3年目の平成17年度は総仕上げとしてトルファンとホータン、グマ、キリヤを訪問して調査研究を行った。今回の訪問はプロジェクトの代表者・分担者の全て(7名)が参加した。期間は8月29日〜9月9日である。調査にはウイグル族の日本留学生や地元の研究者の協力を得た。訪問民家は合計16軒である。トルファンやホータンの郊外に出向くと、葡萄栽培を中心とした農家の厳しい生活があった。その中でも1日5回の祈りは時間を変更しながらも守られ、宗教に支えられた女性の生活を把握することができた。家族関係では男子末子相続が自然に行われていた。ジェンダーの視点に立ってウイグルの家族を考察すると、母親と娘の関係が強く、また男性はモスクでの情報交流から何歳になっても妻を失うと再婚し、女性の世話を当然とする考え方がみられた。女性の服飾は光り輝く美しい色彩を普段から取り入れ、特にトユックやロクチンではスパンコールのような素材が普段にも老若に関係なく用いられている。ウイグルの食事は小麦粉を用いた料理と米の料理とに大別できる。小麦粉に水を加えて混捏してドウをつくるとグルテンが形成され、粘弾性や伸展性が出てくる。これを利用して細長い麺のラグマンを作ったり、広く延ばしてナンやマンタを作る。また多くの応用料理を生んでいる。 住まいについては、グマに遺っている100年前の大邸宅の調査が特筆される。近々重要文化財になるかもしれないというだけに、素材、構造、装飾などにウイグルの優れた創意工夫が込められた邸宅建築である。住まいは気候や地理条件に大きく影響されるが、タクラマカン砂漠の南に位置する地区は大陸性の寒暖の差が大きく、砂嵐をはじめ土埃が舞い上がり、家の隅々にまで土が入り込む。特にホータンの土はパウダーのような細かな土である。トルファンやホータンの中心部には5〜6階の集合住宅もみられるが、地方になると殆どが一戸建ての民家である。そこにはアイワン形式とミマンハナ形式がある。前者はアイワンと呼ばれる中央広間を有し、周りにいくつかの部屋が配置されたもので、平面構成を特徴とする。採光、通風を目的に同じ部屋の中で中央部の天井を高く持ち上げた構造で、夏の高温のみならず、砂嵐などを凌ぐのに適している。ミマンハナはダリザ(前室)、ミマンハナ(客間、居間兼寝室)、アシハナ(台所、冬の寝室)の3室から成る配置を基本構造とし、外部に柱廊を設けている。ミマンハナ形式は他のイスラム社会にもみられる。服飾、カーテン、クッション、絨毯、箪笥、腰壁装飾などに花瓶文様がみられ、ウイグル文様の特色として考察した。
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Research Products
(2 results)