2004 Fiscal Year Annual Research Report
「安全保障共同体」という視角からの冷戦後の米欧関係の研究
Project/Area Number |
15402018
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF FOREIGN STUDIES |
Principal Investigator |
渡邊 啓貴 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80150100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小久保 康之 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60221959)
滝田 賢治 中央大学, 法学部, 教授 (50129962)
加藤 秀冶郎 東洋大学, 法学部, 教授 (60140068)
田中 孝彦 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10236599)
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Keywords | 米欧関係 / 安全保障共同体 / EU / NATO / 米仏関係 / 米独関係 / 米英関係 / 米ベネルクス関係 |
Research Abstract |
冷戦時代以来、米国の大西洋同盟関係とアジア・太平洋諸国との同盟関係は歴史的にも構造的にも相違点ばかりが強調され、各々の同盟関係は別個の現象として考察されてきた。しかし冷戦後は、危機管理・緊急対応のための役割・機能分担を目的とするグローバルな共通基盤に立った同盟関係の再編が進行し、個々の同盟を切り離して論じることがますます困難となった。こうした問題認識に基づいた本研究は、米国のグローバルな同盟関係の全体像を視野に入れた上で、冷戦後の米欧間の安全保障関係の実態を検証し、日米同盟関係に偏りがちなわが国の同盟研究の現状に新たな比較研究の視座を提供する試みであった。また、米欧同盟が有効に機能するために共有すべき利益や価値規範に注目することにより、同盟関係を「安全保障共同体」の生成・発展の過程として分析する視座を提供する試みでもあった。安全保障共同体としての共通理念をめぐっては、(1)二十一世紀の世界観をめぐる二つの普遍主義(一極主義と多極主義)の衝突とともに、(2)いかなる条件下で武力の使用が正当化されるか、民主主義をいかにして世界大に広げていくかを争点としてその実現手段をめぐる対立が、今後の同盟関係を強く規定する要因となることを明らかにした。 研究活動実績に関しては、定期的な会合を平均2ヵ月に1回、計10回開催し、研究分担者を中心に発表、討論を行なった。2005年2月には最終的な報告書作成に向けた全体討論会を実施した。海外での活動については、米国ジョージワシントン大学、仏国際問題研究所の関係者らとの会合を年1回開催した。研究代表者・分担者は、最低1回、米国・欧州において研究対象に関連した専門研究者と接触し情報収集・意見交換を行なった。2005年3月には、日米関係専門家であるマイク・モチヅキ氏、米欧関係専門のケンダル・マイヤーズ氏、フレデリック・ボゾ氏を招聘しシンポジウムを開催し、本研究の目的遂行に必要な情報収集・意見交換を行なった。これらの活動に基づき、本研究は、我が国が主体的な同盟外交を展開するには、同盟に対する高度な外交見識を養うことが必要であることを確認した。
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Research Products
(7 results)