2003 Fiscal Year Annual Research Report
瀕危シカ類;タリムアカシカおよびクチジロジカの保護区設立のための保全生物学的研究
Project/Area Number |
15405007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大泰司 紀之 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (50001532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正美 酪農学園大学, 環境システム学部, 助教授 (00347767)
鈴木 正嗣 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90216440)
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Keywords | 中華人民共和国 / アカシカ / タリムアカシカ / タリム盆地 / タリム川 / チェルチェン川 / 胡楊林 / 保護区 |
Research Abstract |
本研究はタリム盆地のタリムアカシカおよびチベット高原のクチジロジカについて、保護区の計画案作りを4年計画の同時進行で実施する予定であった。しかし本年度調査はSARSのため7月迄中国入国が認められなかったため、これを調査準備や入域手続きのための期間とし、効果的な目的達成について再検討を行った。その結果前半の2年間はタリムアカシカ、後半2年間はクチジロジカに集中し実施することとした。 本年度の調査は、8月10日から27日にかけてタリム川流域とチェルチェン川流域の生息地において実施した。日本から4名と中国側4名の動植物研究者のほかに、現地林業局の野生動物管理官数名も同行した。その結果タリム川流域の胡楊林に約500頭、チェルチェン川流域に約50頭のタリムアカシカが生息することを確かめた。現地調査に基づいて衛星画像の解析を行い、胡楊林及びアカシカの餌となる下草(主としてヨシ)の分布域を確かめた。6月および10月には中国側で独自に予備調査、補足調査を行い、魚類を含む脊椎動物群集と農牧業の影響による解析も行った。 タリム川流域の調査結果については本年度中に中間報告として成果まとめ、来年度の調査において新疆林業局とともに保護区計画を立案することとなった。保護区における大型哺乳類の個体群管理の手法を検討するために、エゾシカの猟区による管理計画調査に参加した。 チェルチェン川流域については、分布域であるタテラン村の牧地の利用も含めた保全計画を立案した。タリムアカシカの密猟を防ぎ、現在のタリムアカシカ養鹿場を同亜種の保護繁殖センターとし、生息地の胡楊林の植生および動物群集の保全を実施するものである。支援プロジェクトは、3年計画で実現することとし、カシミヤの生産性の高い種牡山羊の導入やエコツアーリズムによって村を豊かにし、生息地の動植物を保全するものである。現在国際支援プロジェクトとして申請中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] マハムトハリク, 増田隆一, アブリミットアブダカディル, 大泰司紀之: "中国新疆ウイグル自治区に分布する哺乳類の現状と保全"哺乳類科学. 43. 1-17 (2003)
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[Publications] 大泰司紀之: "タクラマカン砂漠の動物たち"国立科学博物館ニュース. 417. 12-13 (2004)