2003 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷・高地「極限環境」適応動物ナキウサギの生理特性
Project/Area Number |
15406007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
松本 孝朗 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (60199875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 哲也 実験動物中央研究所, 室長 (30167647)
斎藤 宗雄 実験動物中央研究所, 室長 (50167417)
酒井 秋男 信州大学, 医学部, 助教授 (70020758)
八幡 剛浩 市立名寄短期大学, 看護学科, 教授 (60041828)
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Keywords | ナキウサギ / 寒冷適応 / 高知適応 / 概日リズム / 熱産生能 / モンゴル / 中国 |
Research Abstract |
(1)平成15年7月5日〜12日の8日間、松本孝朗、斎藤宗雄と研究協力者のガンゾリグ スミヤ(北海道大学獣医学部客員研究員)の3名でモンゴルを訪問。首都ウランバートル近郊にて、野生ダウリナキウサギの生態ならびに生育環境の調査を行うとともに、ダウリナキウサギ29匹を捕獲し、今後の国内での研究に供するため19匹を持ち帰った。モンゴル国立大学生物学部の協力の下に、モンゴル政府各機関の許可を得て実施した。モンゴルでは昨年、今年と降水量が少なく、草原の植生が乏しく、裸地が露出しかけ、砂漠に近い状況が多く見られた。草原に生息する小動物はその影響を強く受け、1994年、95年の調査時に比べ、ナキウサギの個体数(生息密度)が極端に少なく、捕獲は予想以上に困難であった。また、ナキウサギ同様に地面に穴を掘って生息するハタネズミも激減していた。この状況が続けば、地域からの絶滅も危惧される。持ち帰ったナキウサギは松崎哲也が中心となり実験動物中央研究所にて飼育を試みた。現在12匹が生育中であり(ナキウサギの体重は輸入時の50〜90gから100〜160gへ増加)、この春の繁殖が期待される。繁殖により生産された個体は愛知医大での実験室実験(体温の概日リズムおよび寒冷順化・暑熱順化の体温リズムへの影響に関する研究)に供する予定であり、そのためのバイオテレメトリー装置の準備を整えた。 (2)当初は夏季(7月後半から8月)と冬季(12月〜2月)の2回にわたり、中国青海省を訪問し、野生クチグロナキウサギを用いた調査・実験研究を予定していたが、「SARSの流行」のため中国への渡航は危険度が高いと判断で本年度の実施は見合わせた。H16年度以降、SARSさらにトリインフルエンザ等の流行の様子を見ながら実施したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Okagawa T, Sugenoya J, Iwase S, Mano T, Suzumura A, Matsumoto T, Sugiyama Y: "Occurrence of the spinal reflex due to skin pressure in sudomotor and cutaneous vasoconstrictor nerve system of humans"Autonom Neurosci : Basic and Clinical. 105. 62-70 (2003)
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[Publications] Sakai A, Matsumoto T, Saito M, Matsuzaki T, Koizumi T, Ishizaki T, Ruan ZW, Wang ZG, Chen QH, Wang XQ: "Cardiopulmonary hemodynamics of blue-sheep, Pseudois nayaur, as high-altitude adapted mammals"Jpn J Physiol. 53・5. 377-384 (2003)
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[Publications] 犬飼洋子, 菅屋潤壹, 西村直記, 加藤雅子, 松本孝朗, 緒方昭広: "カプサイシンによる発汗反応について"発汗学. 10・1. 21-24 (2003)
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[Publications] 松本孝朗, 西村直記, 加藤雅子, 犬飼洋子, 佐藤麻紀, 李 丁範, 西山哲成, 菅屋潤壹: "熱傷後に暑熱耐性の低下と多汗を生じた症例の温熱生理学的検討"発汗学. 10・2. 42-46 (2003)
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[Publications] 松本孝朗, 西村直記, 加藤雅子, 犬飼洋子, 佐藤麻紀, 李 丁範, 西山哲成, 菅屋潤壹: "人工炭酸泉(1000ppm)全身浴時の体温、皮膚血流量、発汗量および主観的感覚に及ばす水温の影響"炭酸泉誌. 4・1. 49-56 (2003)
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[Publications] Matsumoto T, Sakai A, Saito M, Matsuzaki T, Nishimura N, Inukai Y, Sato M, Sugenoya J: "Circadian body temperature rhythm in the wild black-lipped pikas(Ochotona curzoniae)in their natural habitat in Qinghai, China"Jpn J Physiol. 53・S. S305 (2003)