2005 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷・高地「極限環境」適応動物ナキウサギの生理特性
Project/Area Number |
15406007
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松本 孝朗 中京大学, 体育学部, 教授 (60199875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 秋男 信州大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70020758)
斉藤 宗雄 実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 室長 (50167417)
松崎 哲也 実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 室長 (30167647)
八幡 剛浩 名寄市立短期大学, 看護学科, 教授 (60041828)
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Keywords | ナキウサギ / 高地適応 / 寒冷適応 / 体温調節 / 褐色脂肪組織 / 肺循環 / 概日リズム |
Research Abstract |
ダウリナキウサギ(平成16年モンゴルにて捕獲)の繁殖に昨年に続いて成功した(松崎、斉藤)。得られた23匹を愛知医大実験動物施設にて飼育、体温リズムの実験室研究に供した。自然生息環境の野生クチグロナキウサギが昼間に高く夜間に低下する明瞭な昼行性の体温リズムを示したのに対して、室潟23〜24℃(12-12時間の明暗周期)飼育下のダウリナキウサギは暗期の始めと終わりにわずかな活動量増加を認めたのみで、体温のリズムは欠除する、あるいはかすかな夜行性リズムを示した。ナキウサギは「寒冷・高地低酸素」という厳しい環境に適応する戦略の1つとして、その概日リズムを昼行性からリズムなしあるいは夜行性へと広く変化させることが示唆された。 松本が4〜5月に中国医科大学生理学教室(曹宇教授)にて講演、青海省にて昨年12月より野生クチグロナキウサギの冬季の体温リズムを継続記録していた野外テレメータ装置および実験データを回収した。ナキウサギの非冬眠性の実証を目指し現在データ解析中。 松本が6月に北海道のエゾナキウサギの生息地(ガレ場)から、9月に郵送にて青海省の生息地(草原)から、巣内温と気温を継続記録していたデータロガおよび実験データを回収。ナキウサギの生息地の気温は夏季には高温(25℃)、冬季には低温(-20℃)かつ大きな日内変動を示したが、巣内温は比較的穏やかな温度(最高15℃、最低-5℃)に保たれ、日内変動も微少であった。巣穴が外適から身を守るだけでなく、温度的シェルターの役割を果たしていることを実証した。 第82回日本生理学会大会(5月18日〜20日、仙台市)において、シンポジウム『「高地・寒冷」環境適応の生理学:野生動物を用いたフィールドワークからのアプローチ』(オーガナイザー:松本・酒井、シンポジスト:松本、八幡、酒井、小泉)を実施、3ヵ年の研究成果の概要を発表した。
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Research Products
(6 results)