2005 Fiscal Year Annual Research Report
ビルハルツ住血吸虫症:感染者の疾病認識に沿った調査により明かになる多様な病害
Project/Area Number |
15406017
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Research Institution | Institute of Tropical Medicine, Nagasaki University |
Principal Investigator |
青木 克己 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90039925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金武 洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50100839)
野俣 浩一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80189430)
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
浜本 満 九州大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40156419)
渡部 幹次 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70325679)
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Keywords | ビルハルツ住血吸虫 / 排尿困難 / 血尿 / 蛋白尿 / 白血球尿 / 学童 / 尿中虫卵 / ケニア |
Research Abstract |
本研究は、ビルハルツ住血吸虫感染者が訴える多様な自覚症状、特に排尿困難、の頻度と重篤さを明らかにすることを目的とする。 平成16年度までに行った調査により、本研究の目的はかなり達成されたので、本年度は16年度までの研究対象学童が居住する村のビルハルツ住血吸虫症の流行像を明らかにし、本症による排尿困難が村に与える負荷を推測するとともに、住血吸虫対策法として、この村に供与された簡易水道施設の住民による利用も調査した。 ・調査地と方法 ケニア沿岸州クワレ地区のムサンガタム村の全住民を対象に尿中の虫卵検査と、血尿、蛋白尿、白血球尿の検査を行った。 ・調査結果 1)虫卵検査結果……学童454名、その他住民771名が検査を受けた。虫卵陽性者は学童で73%、その他住民で43%であった。感染の強さ(尿10ml中の虫卵数)は学童で25.9、その他住民で4.3であった。 2)血尿、蛋白尿、白血球尿検査結果……学童457名、その他住民775名が検査を受けた。血尿陽性者は学童で63%、その他住民で39%で、学童では39%が+++であった。 蛋白尿陽性者は学童で89%、その他住民で48%で、学童では+++が13%もいた。 白血球尿の陽性者は学童で46%、その他住民で40%で、学童では+++が6.7%もいた。 3)共同水道施設の利用状況……242名(男性80名、女性162名)の成人にアンケートを行った。水道施設はよく利用されている(利用する家庭は85%、1日の1家庭あたり使用水量は60L以上が80%)が、多くの住民(70%)は川で水との接触を続けている。 ・まとめと考察 NGOにより住血吸虫症対策として水道施設が供与されているにもかかわらず、我々の調査地の住血吸虫感染率は高い。平成16年度までの調査で感染学童の約70%が何らかの排尿異常を訴えている。この村におけるビルハルツ住血吸虫症は村人に排尿困難という医療関係者が注目していない負荷を与えている。
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