2003 Fiscal Year Annual Research Report
胆嚢がん多発国ハンガリーにおける本症の成因に関する疫学的国際比較研究
Project/Area Number |
15406025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 正治 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40018693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 康雄 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60334679)
中平 浩人 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (40217758)
味岡 洋一 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80222610)
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Keywords | 胆嚢がん / ハンガリー / 国際比較 / 疫学 / 症例-対照研究 / CYP1A1遺伝子 / p53遺伝子 |
Research Abstract |
平成15年12月にハンガリー・ブダペストにあるハンガリー国立がん研究所を訪れ、海外共同研究者Lang教授と研究打ち合わせの会議を開催した(味岡、中平)。その結果は以下の通りである。 (1)事前にハンガリー国立がん研究所の遺伝子倫理委員会に申請してあった本研究は、平成16年1月に承認された。 (2)ハンガリーにおける胆嚢がん死亡の地域集積性と時系列変化を確認するため、1979〜2002年における性別・年齢階級別の過去10年間の人口動態統計資料を収集した。その分析の結果、この期間においては、男性の胆のうがんによる死亡は204人から129人に、女性は696人から424人に減少し、男女とも粗死亡率は低下していることが明らかになった。今後、年齢調整死亡率及び標準化死亡比(SMR)を計算し、国際比較ができるよう、さらに詳細なハンガリーの動態統計の収集を行う。 (3)ハンガリーにおける胆嚢がんの症例対照研究を実施するため、ハンガリーの食生活、ライフスタイル等の特性を考慮した調査票を現地語で作成した。胆嚢がん症例はハンガリーがん登録を利用し、現在38症例から同意を得、質問票を回収した。性、年齢(±3歳)をマッチングした対照は2例収集でき、残りを現在収集中である。 (4)胆嚢がんのp53遺伝子変異分析及びCYP1A1遺伝子多型分析のため、胆嚢がんのパラフィンブロックの収集をハンガリー国立がん研究所に依頼し開始した。現在までに13試料を得た。ホルマリン固定パラフィン切片からmicrodissection法でDNAを抽出し、nested PCR法とdirect sequence法でp53遺伝子(exon5-8)の変異頻度とパターンを検索した。9症例でDNA増幅が可能性であり、4例(44%)、8箇所にp53遺伝子変異が認められた。変異パターンは8/8(100%)がtransition(G:C→A:T、A:T→G:C)であり、6/8(75%)はCpG siteに変異が認められた。ハンガリー胆嚢がんは、これまで本研究者らが報告したチリ胆嚢がんのp53変異パターンと同様であったが、日本人胆嚢がんとは、p53変異率は50%(11/22)と差はないものの、日本人の場合はtransitionが69%であり、CpG siteの変異は認められていない点で異なる。これらの多国間での胆嚢がんp53変異パターンの違いが、人種に起因するのか、環境因子によるのかは興味ある問題である。 今後、これらの問題の解明に当たるため、合計40試料を収集する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masaharu Yamamoto: "Epidemiological Studies on the Distribution and Determination of Biliary Tract Cancer"Environmental Health and Preventive Medicine. 7・6. 223-229 (2003)
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[Publications] Yasuo Tsuchiya, Masaharu Yamamoto, et al.: "Effects of Dietary Habits and CYP1A1 Polymorphisms on Blood Dioxin Concentrations in Japanese Men"Chemosphere. 52. 213-219 (2003)