2003 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける地域在住要介護高齢者の実態に関する研究-本邦高齢者との比較検討-
Project/Area Number |
15406031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (70190494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北 徹 京都大学, 医学研究科, 教授 (60161460)
ランボー AT 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (60335213)
西淵 光昭 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (50189304)
田中 誠 京都大学, 医学部附属病院, 助教授 (00271007)
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Keywords | 本邦養護老人ホーム / 本邦ケアー付きマンション / ミャンマー佛教系老人ホーム / CGA / ADL / QOL / Spiritual |
Research Abstract |
【目的】社会の高齢化とともに、現在の本邦高齢者の居住形態は、複世代同居、高齢核家族、独居、施設、ケアー付きマンションなどと多様化してきた。本研究の目的は、相対的に貧困で身寄りの少ない養護老人ホーム(以下「養護」と略)入所者と、経済的に裕福なケアー付きマンション(以下「ケア」と略)入居者、それにミャンマー仏教系老人ホーム入居者についてCGAを実施し、社会経済状況と介護の質、および高齢者自身の価値観がADL, QOLにいかなる影響をもたらしているのかを明らかにすることにある。 【方法】対象は近畿圏都市部の「養護」243名(男152、女131、平均年齢77.8歳)と「ケア」203名(男58、女145、平均年齢80.3歳)、ミャンマー仏教系老人ホーム入居者140名(男58、女82、平均年齢80.5歳)である。基本的ADL、老研式活動能力評価、visual analog scaleによるQOL、GDSによるうつ傾向の評価を実施した。 【結果】「養護」は、「ケア」に比べて年齢が低いが、男性の割合が高く、未婚率離婚率が高く、喫煙者が多かった。基本的ADLには三者で差が見られないが、高次ADLのうち社会的役割は、「養護」で有意に低く、ミャンマーが最も高かった。またQOLでも、主観的幸福度では「養護」が最も低く、ミャンマーが最も高かった。ミャンマーではうつの割合が非常に低いのに比師、「養護」では半数かうつを示した。 【結論】本邦「養護」と「ケア」の入居者では、結婚歴、収入など若壮年期の社会的背景に大きな差がみられる。若壮年期の社会経済状況の差が高齢期のADL、QOLに影響をもたらすことは明かであるが、それ以外にも、「養護」と「ケア」では、高次ADLを維持するための介護の質にも差がある可能性が示唆される。ミャンマーでQOLが高くうつの頻度が少ないのは、Spiritualな要因が示唆される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ishine M, Matsubayashi K et al.: "Depression, age and ADL in community-dwelling elderly"Geriatrics and Gerontology International. 3. 262-264 (2003)
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[Publications] Wada T, Matsubayashi K et al.: "Depression screening of Japanese community-dwelling elderly"J Am Geriatr Soc. 51. 1328-1329 (2003)
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[Publications] Tanaka M, Matsubayashi K et al.: "Donepezil and athetosis in the elderly patients with Alzheimer Disease"J Am Geriatr Soc. 51. 889-889 (2003)
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[Publications] Ho HK, Matsubayashi K et al.: "What determines the life satisfaction of the elderly? Comparative study of residential care home and community in Japan"Geriatrics and Gerontology International. 3. 79-85 (2003)
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[Publications] Otsuka K, Matsubayashi K et al.: "Chronomics for chronoastrobiology with immediate spin-offs for life quality and longevity"Biomed Biomed. 57 supple1. 1328-1329 (2003)
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[Publications] Nagano Y, Matsubayashl K et al.: "Knee pain in people aged 80 years and older is not associated with gait parameter and functional performance"Int J Rehabil Res. 26. 131-136 (2003)
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[Publications] 松林公蔵: "老年医学 UPDATA2003-04"日本老年医学会. 190 (2003)