2003 Fiscal Year Annual Research Report
重度の聴覚障害をもつ乳幼児における人工内耳の早期装用効果
Project/Area Number |
15500389
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
北野 庸子 東海大学, 健康科学部, 教授 (50276862)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 竜彦 東海大学, 医学部, 講師 (60238186)
高橋 正紘 東海大学, 医学部, 教授 (30051832)
|
Keywords | 小児人工内耳 / 早期装用効果 / 小児のマッピング / 聴取能 / 聴能発語指導 / 聴覚学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、早期(3歳前)に人工内耳の装用を開始した難聴乳幼児における人工内耳の装用効果(聴取能ならびに言語力)は、それ以降(3歳以降)に人工内耳の装用を開始した難聴乳幼児と比べて優れているという仮説を検証するものである。 小児における人工内耳の装用効果に影響を与える要因は、蝸牛の形態(正常、異常)、電極の挿入状態(全電極使用、部分電極使用)、マップ、装用開始年齢、教育方法(視覚法、聴覚法)、親の協力体制、子どもの認知力などが考えられる。 本研究の仮説を検証するために、現在、東海大学病院で人工内耳の挿入手術を受けた小児(60症例)を対象として以下の点について評価を行っている。 1)電極の挿入状態(レントゲン画像検査)、2)マップの状態(挿入電極数、使用電極数、TCレベルの適正)、3)聞き取り能力検査、4)構音検査、5)言語力検査、6)発達検査、7)装用児が在籍する教育機関の教育方法の調査、8)装用児の親に対するアンケート調査 現在、上記の諸検査は継続中で60症例中50%強の検査データを得ているが、まだ研究結果として示すことができない段階である。ただ、現在までに得られた検査データから言えることは、早期に人工内耳を装用することで得られる効果のひとつは構音の質である。早期から装用を開始した難聴児の構音には、ろう児の構音特徴である鼻音、のど声、吸破などがほとんど見られなかった。また、聞き取り能力検査では、早期に装用を開始し、蝸牛に奇形がなく使用電極が18本以上の全症例において、5母音の聞き取りは1年以内に可能となっている。 上記の8項目全ての検査データが得られた段階で、本研究の仮説の検討をおこないたい。
|