2003 Fiscal Year Annual Research Report
女子スポーツ選手における運動性無月経と血管内皮機能の関連-前向き研究
Project/Area Number |
15500466
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
吉田 典子 久留米大学, 健康・スポーツ科学センター, 助教授 (10210709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊増 功次 久留米大学, 健康・ スポーツ科学センター, 教授 (50172218)
池田 久雄 久留米大学, 第三内科, 助教授 (50168134)
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Keywords | 血管内皮機能 / 運動 / 運動性無月経 / エストラディオール |
Research Abstract |
目的 我々は,先行研究において運動性無月経の選手では正常性周期の選手に比べて反応性充血時の血管拡張反応(Flow-mediated vasodilatation:FMD)が低下しており,FMDは血中エストロゲン濃度と正の相関を持つことを見出した.これらは運動性無月経の選手ではエストロゲンの低下と関連して,血管内皮機能が低下していることを示唆している.しかし,縦断的研究のため,前向き研究が必要と考えられた.そこで,運動性無月経の選手が正常性周期に回復した時点で,血中エストロゲン濃度が正常化し,運動性無月経の治癒にともないFMDが回復するかどうかを検討する事を目的とした. 研究の対象:全国大会レベルの某高等学校女子バレーボール選手 測定項目:1)身体組成:身長、体重、Body Mass Index、体脂肪率(インピーダンス法)を測定する。 2)血液検査:血計、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、エストラジオール、プロゲステロン(RIA固相法)、黄体化ホルモン(LH;IRMA法)、卵胞刺激ホルモン(FSH;IRMA法)を測定する。 3)血管内皮依存性血管拡張反応:反応性充血時の血管拡張反応(FMD)の測定 4)血管内皮非依存性血管拡張反応:ニトログリセリン(GTN)に対する血管拡張反応の測定 結果 運動性無月経の群は運動をしていない対照群に比較し、血中エストラディオールとFMDは有意に低値であった.先行研究で運動性無月経を認めた群から7名について、競技的なスポーツ活動を中止した後、6ヶ月経過した時点でfollow upの測定を行った.全員が正常性周期に回復していた.正常性周期回復後は、運動性無月経時に比べて、エストラディオールは有意に増加し(30.7±16.2→48.8±15.6pg/ml、p<0.05)、それに伴ってFMDも有意に増加した(5.6±2.3→11.7±3.9%、p<0.05).GTNに対する血管拡張反応には有意な変化は認めなかった. 結語 運動性無月経では、血中エストロゲンの低下に伴って血管内皮機能が低下していることが示された.しかし,トレーニングの中止によって、この内皮機能の低下は改善することが確認され、可逆的な障害であると考えられた.
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