2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス防禦機構よりみた運動療法による動脈硬化予防の機序に関する研究
Project/Area Number |
15500500
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
池田 正春 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40078770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南里 宏樹 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80150415)
太田 雅規 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (70341526)
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Keywords | 酸化ストレス / 心血管危険因子 / 運動 / 過酸化脂質 / NO / Nitrotyrosine / Peroxynitrite |
Research Abstract |
高血圧、高脂血症、肥満などの心血管危険因子を有する中・高年者の地域住民を対象に最大酸素摂取量の50%に相当する運動強度での有酸素運動を1回60分、週2回、計12週間指導を行い、指導開始前及び指導修了後、諸指標を測定、解析し次の結果を得た。 (1)生活習慣修正指導により、BMI,血圧、インスリン抵抗性、脂質代謝、動脈硬化指数等の改善を認めた。また過酸化脂質の指標であるTBARSは有意に低下し、酸化ストレスの軽減を示唆する結果を得た。しかし尿中NOxは有意の変化を認めず、NOと活性酸素との反応の結果生じたPeroxynitriteの指標となる血中Nitrotyrosineも変化を認めなかった。血中の抗酸化酵素であるEC-SODも有意の変動は認めなかった。一方、平均血圧の変化率と各種指標の変化率との単相関を調べたところ、平均血圧の改善にはNitrotyrosineの減少が関与していた。 (2)組織や細胞が降圧作用や抗動脈硬化作用を有するNOをいかに効率よく利用するか(生物学的利用能)は心血管危険因子を改善する上で重要な課題である。このことを明らかにするためには生体内で産生されたNOと活性酸素とのバランスを考慮する必要がある。本研究では血中Nitrotyrosineと尿中NOxとの比率(Nitrotyrosine/NOx比)に着目し検討した。その結果、Nitrotyrosine/NOx比の変化率は血圧の変化と有意の相関を認め、有用な指標になることが確認された。 (3)介入指導による平均血圧の変化率を従属変数とし、BMI,EC-SOD,TBARS,動脈硬化指数、インスリン抵抗性、Nitrotyrosine/NOx比の変化率を独立変数としてステップワイズ回帰分析を行ったところNitrotyrosine/NOx比比とインスリン抵抗性の変化率が夫々寄与していることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)