2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510005
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
籾井 和朗 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40136536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長 勝史 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20038235)
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Keywords | 化学平衡計算 / 移流分散 / CIP法 / シミュレーション / 鉛汚染土壌 / 酸洗浄 / 陽イオン交換反応 / 表面錯形成反応 |
Research Abstract |
土壌および地下水中における水質の変動や様々な汚染物質の挙動を検討するために,コンピュータによる溶質輸送シミュレーションが行われる.本研究では,近年,流体力学をはじめとして様々な自然科学の分野で適用されているConstrained Interpolation Profile (CIP)法を溶質輸送解析に応用する方法について検討を加えた. まず,簡便さのため,1次元移流分散方程式に陽イオン交換反応と表面錯形成反応を熱力学平衡モデルとして組み込んだ溶質輸送モデルについて検討した.特に,溶質輸送モデルの数値解法として,CIP法を適用し,化学平衡計算と連成して解く方法を新たに構築した.計算結果は,陽イオン交換カラム実験結果をきわめてよく再現しており,その計算精度の高さを確認した. 次に,鉛で汚染した土壌を,酸により洗浄するシミュレーションに,本数値解法を適用し,汚染除去のために投入する酸の量や濃度の影響について検討を加えた.ここでの提案モデルとその数値解法のアルゴリズムは,その簡便さに特徴があり,今後,種々の化学種を含む反応系への拡張が比較的容易である利点をもつ. 本数値解法の適用例として,重金属汚染土壌の酸洗浄に及ぼす流れ場の影響評価について検討を加えた.本解法によれば,酸の注入位置や流出位置によって,対象領域内のどの部分の洗浄に効果があるのかを予め評価できること,さらに,注入する酸の濃度や洗浄液の成分組成を種々変化させて計算を行うことで,汚染土壌の浄化効率に及ぼす種々の要因の影響を評価できることが分かった.以上のように,ここでの反応系溶質輸送解析法は,重金属汚染土壌の酸洗浄による修復設計や計画に十分活用できるものであり,理工学的に有用な数値シミュレーション手法といえる.
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