2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510094
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
板原 俊夫 鹿児島大学, 工学部, 教授 (40112429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 岳彦 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (80293893)
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Keywords | 液晶 / 自己組織化 / 複数分子配列制御 / 核酸塩基 / ラセン状結晶 / コレステロール / アントラセン / ピリジン誘導体 |
Research Abstract |
1)安息香酸コレステリルをメチレン鎖で連結させたコレステリック液晶性の核酸塩基誘導体としてアデニン、チミン、シトシン、ヒポキサンチン、3-メチルウラシル等の分子を合成した。 2)チミンやシトシン誘導体とアントラセンは1:1の会合体の結晶を作った。さらにアデニン誘導体とチミン誘導体にアントラセンを1:1:2混ぜた混合物を加熱しコレステリック液晶にした後冷却すると、らせん状の結晶化が起こった。NMRからはこの結晶はアデニン、チミン、アントラセンの1:1:2であることが確認された。しかしチミンの代わりた3-メチルウラシルを用いたアデニンとアントラセンの混合物の場合には結晶化さえしなかった。このことはアデニンとチミンの塩基対形成が重要であり、液晶状態での複数分子配列を示している。 3)上記1)の分子およびアントラセンとの混合物の赤外分光の温度変化を室温から200度まで研究した。たとえばチミンの場合は、結晶と液晶ではほとんど水素結合しており、液体状態で非水素結合が観測された。さらにアデニンとチミンとアントラセンの1:1:2の混合物の赤外分光の温度変化を室温から200度まで研究した。液晶状態で僅かに非水素結合が観測されたが大部分は水素結合しており、それが液体では大きく非水素結合が増加した。このこともまたアデニンとチミンの会合が重要であることを示している。 4)上記のらせん状の結晶はアデニンとチミンの塩基対形成およびコレステロール部位へのアントラセンの挿入による自己組織化したもので、その会合体のらせん形成はコレステリル置換の核酸塩基対に起因すると考えられる。 5)上記1)のアデニンとチミン誘導体をリン脂質の中に導入し、リン脂質のスメクチック液晶(サーモトロピック液晶)とラメラ相(リオトロピック液晶)中でのアデニンとチミン誘導体の会合を研究した。アデニンとチミン誘導体をリン脂質の中に20%まで導入してもその液晶性に変化はなく、30%導入するとスメクチック液晶はコレステリック液晶に変化した。またアデニン誘導体の入ったリン脂質とチミン誘導体の入ったリン脂質のラメラ相間で、アデニンとチミンの自己組織化によるリン脂質内での複数分子配列制御が可能であることが見出された。 6)安息香酸コレステリルをメチレン鎖で連結したピリジン誘導体と脂肪酸との会合体のコレステリック液晶性が見出された。この会合体をリン脂質に導入した液晶性を研究した。その結果からピリジン誘導体の入ったリン脂質と脂肪酸の入ったリン脂質のラメラ相間でピリジン誘導体と脂肪酸との会合による、リン脂質内での自己組織化による複数分子配列制御が可能であることが見出された。
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