2004 Fiscal Year Annual Research Report
平面、奥行および3次元運動知覚における色メカニズムの寄与
Project/Area Number |
15530479
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉澤 達也 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 助教授 (90267724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 暢彦 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 助手 (70308584)
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Keywords | 一次色運動 / 二次色運動 / 窓枠問題 / 奥行運動 / 運動からの構造知覚 |
Research Abstract |
本研究課題では運動知覚のメカニズムを明らかにすることが目的である.特に,色度情報によって定義される運動刺激を検出するメカニズムがどのような役割を持っているのかを様々な方向の運動について調べることにより,色運動知覚メカニズムを明らかにする. 昨年度は平面色運動メカニズムと奥行き運動知覚の窓枠問題に関する心理物理的アプローチを行ない,平面色運動については1次運動と2次運動を検出する2つのメカニズムが異なる生理学的機序であることを示唆する結果が得た.そこで,本年度は,1次色運動検出メカニズムに注目し,その時間的特性を計算モデルにより推定し,生理学的および心理学的知見と比較検討することにより,生理学的機序との照合を行った.その結果,1次色運動は従来報告されている初期視覚過程である色チャンネルや輝度チャンネルではなく,別の処理経路によって検出されていることが示唆された.これは,霊長類の電気生理学実験で得られた知見と一致している. 一方,3次元運動知覚メカニズムについては,昨年度得られた窓枠問題における運動方向の知覚メカニズムの知見をさらに発展させ,本年度は運動によって得られる構造知覚について考察した.運動情報は対象の運動知覚だけではなく,3次元の構造知覚にも寄与している.今回の心理物理学実験の結果から,剛体から生成される運動情報であっても,剛体運動の生成モデルによる予測に適合しない場合は非剛体運動として知覚されることが明らかとなった,このことは,対象運動が与える情報は運動検出器による単純な解析だけではなく,内部モデルとの比較またはモデルからの予測などの拘束条件によって異なる知覚が生成されること示唆しており,本研究により3次元運動知覚メカニズムの特性の一面が明らかになった. なお,これらの知見は既に論文誌上または国際会議において報告されている.
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