2004 Fiscal Year Annual Research Report
学力の階層間格差を克服する学校効果に関する臨床的研究
Project/Area Number |
15530548
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鍋島 祥郎 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 助教授 (40240832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志水 宏吉 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (40196514)
西田 芳正 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (10254450)
葛上 秀文 鳴門教育大学, 学校教育学部, 講師 (40304563)
芝山 明義 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助手 (10243742)
高田 一宏 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教授 (80273564)
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Keywords | 学力 / 階層 / 効果のある学校 / 教育社会学 / 臨床的研究 / 教育平等 / 質的調査 / 実証的研究 |
Research Abstract |
本年度の研究は二つのフェーズで進められた。 第1が、学力の階層間格差を克服している学校の存在を探索する量的調査のフェーズであり、第2が発見された「効果のある学校」などを対象とする質的調査(学校訪問調査)のフェーズである。 第1フェーズでは、昨年度に小学校27校、中学校26校を対象として実施した学力テストおよび児童・生徒意識調査、担任意識調査のクロス集計結果分析を行った。主な知見は;(1)学力格差が小さく学力水準の高い「効果のある学校」を小学校で4校、中学校で2校見いだすことができた。(2)効果のある学校の特徴としては、小学校では個別化指導、中学校では学校運営におけるリーダーシップにやや特徴を見いだすことができるものの、一般化できる明瞭な違いは量的調査では確認できなかった。(3)そこで、在籍児童・生徒の階層水準によって学校を類型化したうえで、それぞれのカテゴリーにおける効果のある学校の特徴を抽出したところ、階層水準の高い学校では授業の質を高めることに効果を高めるポイントがあり、階層水準の低い学校では個別化指導や集団づくりにポイントがあった。 上記量的調査において効果のある学校と認定された学校を中心とする観察調査が第2フェーズであり、来年度の9月まで実施される予定である。現在小5校、中5校に研究チームメンバーが月2回程度訪れて、観察を続けている。観察は原則として非参与型であるが、対象校の依頼に応じて実践に関わり現場の問題意識を共有している。質的調査における知見として、市町村教育委員会の人事政策の問題が挙げられる。著しく学力格差が大きく学力水準の低い学校が生じるのは、教育実践に問題があるというよりも、人事異動を通じて新卒数年以内の経験の乏しい教員が多数を占める事態や、意欲に欠ける教員ばかりが残ってしまうなどの弱体化が目立った。質的調査の成果報告は来年度の予定。
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Research Products
(7 results)