Research Abstract |
本年度は,研究実績報告書を作成するとともに,雑誌論文への投稿,学会報告,および事例での介入手続きの検討を行なった。 1.雑誌論文: (1)「小学校1年生ADHD児の教室内行動の変遷-担任教師による行動的介入の効果-」という題目で,発達心理臨床研究(兵庫教育大学発達心理臨床研究センター紀要)に投稿した。授業中に離席など逸脱行動を示す1年生ADHD男児に対して,担任は10月の末から前方の席に移して個別に注意を喚起し,望ましい行動は強化するようにした。その結果,逸脱行動は減少し,健常児と同じ刺激事態で生起するようになった。そわそわ行動は,2月の末でもADHD児に頻発し,健常児とは異なる刺激事態で生起した。 (2)「軽度発達障害障害児に対する教室場面での機会利用型SST-オンタスク行動の形成と般化-」という題目で,行動科学(日本行動科学学会誌)に投稿した。担任が授業中に,中学年の男子ADHD児に対して,社会的スキルとオンタスク行動が自発する機会をとらえて,社会的刺激の随伴を個別に行なうとともに,学級全体に対しても行なった。その結果,ADHD児のオンタスク行動が増加した。 2.学会報告: (1)「乱暴な行動の目立つ小学校4年生男児の母親に対する行動療法的面接」という題目で,日本カウンセリング学会第38回大会でポスター発表を行なった。教室で乱暴な行動を示していたが,対象児は個別訓練を嫌がった。母親は対象児の家庭内での暴言をABC分析する中で,自分も叱責ばかりであることに気づき,ロールプレイを希望した。担任へは母親から対応策の情報を伝え,教室内行動に応用してもらった。家庭内でも,教室内でも暴言は著しく減少し,望ましい行動が増加した。 (2)「小学校1年生ADHD児に対する擬似教室場面行動マネージメント」という題目で,日本行動療法学会第31回大会でポスター発表を行なった。教室内では不注意で衝動的な逸脱行動が目立っていた。擬似的な教室場面を作って,どのような環境刺激の元で望ましい行動が生起するかを検討して,担任にフィードバックした。 3.研究実績報告書: 教室での担任の取り組み,擬似場面での行動の担任へのフィードバック,親へのアプローチと担任との連携なとで構成されている。
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