2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540190
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Research Institution | KINKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
青木 貴史 近畿大学, 理工学部, 教授 (80159285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 脩藏 近畿大学, 理工学部, 教授 (80025410)
大野 泰生 近畿大学, 理工学部, 助教授 (70330230)
中村 弥生 近畿大学, 理工学部, 講師 (60388494)
山崎 晋 日本大学, 理工学部, 講師 (00349953)
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Keywords | 完全WKB解析 / ストークス曲線 / 変わり点 / 無限階擬微分方程式 / 高階微分方程式 / 接続問題 / 多重ゼータ値 / ストークス現象 |
Research Abstract |
本研究に於いては、大きなパラメータを持つ高階および無限階の微分方程式ならびに擬微分方程式の完全WKB解析の基礎理論確立を目指した。無限階の場合を込めて完全WKB解の構成ならびに単純変わり点近傍における局所解析は昨年までの本研究により、ほぼ満足の得られる形で行われたが、本年度はこの成果を踏まえて大域的解析に取り組んだ。無限階方程式の具体例についてストークス幾何の決定を試み、幾つかの興味深い結果が得られた。すなわち、解の積分表示を持つような無限階方程式に関して、変わり点および仮想変わり点を用いて得られたストークス幾何と積分表示の最急降下法によって得られるストークス幾何を比較し、それらが一致することが確かめられた。これは、無限階の場合でも、有限階のときと同様に仮想変わり点が接続問題の解決に重要な役割を果たすことを意味しており、今後の研究に関して一つの大きな方針、つまり、仮想変わり点の解析を柱として研究を進めることの正当性を強く示唆している。ストークス幾何のパラメータ依存性に関しても、仮想変わり点および新しいストークス曲線を勘定に入れて初めて連続性が保証されることが様々な例を通じて明らかになってきている。 具体的な接続公式の応用として、多重ゼータ値の関係式が得られたことも興味深い。実際の応用としては依然として古典的な超幾何関数のガウスの接続公式に留まってはいるが、それでもなお、新しい線型関係式や代数的関係式が幾つか得られた。すなわち、等号付き多重ゼータ値の重さと高さを固定した和が、リーマンゼータ値の有理数倍で書けることや、高さと深さが一致するものの和に対する母関数が、やはりリーマンゼータ値の有理数倍の多項式で書けること等が得られた。これらの結果は、微分方程式の接続係数と数論との係わりを示しており、今後の研究方向として、接続問題の数論への応用が大きな可能性を持つと思われる。
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Research Products
(7 results)