2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しい光検出器(SiPM)を用いたシンチレーション光の二次元位置座標読み出し
Project/Area Number |
15540285
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
星 善元 東北学院大学, 工学部, 教授 (80146117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根市 一志 東北学院大学, 経済学部, 助教授 (90296012)
|
Keywords | マルチアノード光電子増倍管 / アバランシェ・フォトダイオード / ウェーブシフティング・ファイバー |
Research Abstract |
年度の前半では実験装置の発注と製作をおこなった.シンチレーション光の受光素子であるアバランシェ・フォトダイオードはS88664-10k,マルチアノード光電子増倍管(以後,光電子増倍管)はH6568-10,いずれも浜松ホトニクス社製である.またシンチレーターはSCSN-81,ウェーブシフティング・ファイバー(以後,ファイバー)はY-11,いずれもクラレ社製である.本研究の目的は磁場に強いマルチアノード光電子増倍管とフォトダイオード,シンチレーターとを組み合わせて粒子の通過位置を2次元座標で決定しようとするものである。実験概要はシンチレーターに直線又は円形の溝を作り、そこにファイバーを配置し、波長変換を行い、それを数チャンネル分まとめて、光電子増倍管で読み出し、そのパルスの時間差で粒子の通過位置を測定し,位置分解能の最適値を求めるのが目的である。まず大きさ100x100x10(mm)のシンチレーターにファイバーを組み込むための対角と円形の溝をダイオード用と光電子増倍管用に4種類製作した. 年度後半においてはファイバーの性能評価の基礎データを取るため3種類のファイバー湾曲実験を行った.(a)輪による光損失,(半径r=2.8,3.2,4.0,4.9,6.25mmの5種類)(b)輪の位置による光損失,(半径を4.0mmに固定して発光ダイオードから5cm,中央,フォトダイオードから5cmの3点)(c)多重輪による光損失,(r=2.8mmで5点,r=4.0mmで3点,r=6.25mmで3点)の測定を行った.(a)において,光の損失は半径3.2mm以上では約3%一定となった.また(b)において,発光ダイオード近辺では損失5%であったが他の2点では3.5%となった.さらに(c)において,半径4.0,6.25mmでは巻き数に関係なく損失3%一定であった.しかし,半径2.8mmにおいては損失が巻き数に伴い7%から30%と大きいことが分かった.この得られた結果からファイバーの最適湾曲半径が求められた.さらにシンチレーターの溝の加工を行い,ダイオードと光電子増倍管を用いてシンチレーション光の二次元位置座標読み出しを行い,各読み出しにおける位置分解能の知見を得たいと考えている.
|