2004 Fiscal Year Annual Research Report
拡張π電子系多硫黄ジチオレート-金属錯体による新しい導電性磁性体の開発
Project/Area Number |
15550049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松林 玄悦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029182)
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Keywords | クロム錯体 / ロジウム錯体 / イリジウム錯体 / 白金錯体 / ジチオレート錯体 / 磁化率 / 電導度 / シクロペンタジエニル錯体 |
Research Abstract |
多くの硫黄原子を含んだC_8H_4S_8配位子をもつ金属錯体では、この配位子上に不対電子をもつ酸化体が安定で、また磁性体としても特異な性状が期待される。本研究では、C_8H_4S_8配位子をもつ金属錯体の酸化体とともに、常磁性金属イオンと酸化されたC_8H_4S_8配位子上の不対電子からなる特徴的な磁性を示す新しい錯体集積体の創製を目指した。 THF中においてC_3S_5(CH_2CH_2CN)_2とNMe_4OHとの反応によって[NMe_4]_2(C_3S_5)を生成し、EtOH中でそれとCrCl_3 _6H_2Oの反応によって[NMe_4]_3[Cr(C_3S_5)_3]を合成した。磁化率の測定からs=3/2のCr(III)の状態で常磁性を示し、固体状態で八面体構造のアニオンが孤立して存在すると考えられる。ヨウ素で酸化して[NMe_4]_<0.2>[Cr(C_3S_5)_3]を得たが、絶縁体であった。EtOH中で[Cr(acac)_3](acacH=アセチルアセトン)と[NMe_4]_2(C_8H_4S_8)との反応によって[NMe_4]_3[Cr(C_8H_4S_8)_3]を得た。磁化率の測定から、この錯体は反磁性であることがわかった。 また、C_8S_4(SCH_2CH_2CN)_4を用いてEtOH中で金属Naとの反応によりC_6S_8_^<4->塩を発生させ、[Rh(Cp)Cl_2]_2、[Ir(Cp)Cl_2]_2、[Rh(Cp^*)Cl_2]_2あるいは[Ir(Cp^*)Cl_2]_2との反応によって、複核錯体[M(L)(C_6S_8)M(L)](M=Rh(III),Ir(III);L=Cp,Cp^*)を合成した。さらに、EtOH中でNa_4(C_6S_8)と[Pt(PPy)Cl]_2(PPy^-=C-脱水素化4-フェニルピリジン)との反応により、[Pt(ppy)(C_6S_8)Pt(ppy)]^-塩を得た。これらのC_6S_8-架橋複核錯体は、-0.6〜0V(vs.Ag/Ag^+)に第一酸化電位を示した。TCNQやヨウ素との反応で得た酸化体は、室温で0.29Scm^<-1>(粉末加圧成型試料)の電導度を示した。
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Research Products
(6 results)