2003 Fiscal Year Annual Research Report
光感応性ゲル膜における分光感度の拡大とフォトニックデバイスへの応用
Project/Area Number |
15550175
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
野間 直樹 近畿大学, 理工学部, 講師 (70208388)
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Keywords | 水素基置換芳香族ケトン / ジルコニア / 化学修飾 / 光感応性ゲル / パターニング / レーザ描画 / エステル基 / 吸収極大 |
Research Abstract |
報告者らは、β-ジケトンで化学修飾された金属アルコキシドのゲル膜が光感応性を示すことを見いだし、この光感応性ゲル膜に紫外線照射した後、リーチングを行うことにより、パターン化した薄膜を得るという新しい微細加工プロセスを開発している。本年度は、1)キレート環に縮合するπ共役系の導入、2)電子供与性置換基によるキレート環の電子状態制御などの化学修飾剤を適切に選択するというアプローチで、光感応性ゲル膜における分光感度の拡大を検討するとともに、それらを用いた高性能光機能デバイスの開発を目指して研究を行い、以下の成果を得た。 1)水素基置換芳香族ケトンを用いた光感応性ZrO_2ゲル膜の作製とパターニング いくつかの水酸基置換芳香族ケトンを化学修飾剤に用いてZrO_2ゲル膜を作製し、それらの光感応性、パターニング特性について検討を行った。検討の結果、1-(2-ヒドロキシフェニル)-3-フェニル-2-プロペノン(HPP)を用いた場合、これまで作製してきたゲル膜の中で最も長波長に吸収帯を示すことを見いだした。また、HPPを化学修飾剤に用いて作製したZrO_2ゲル膜について、YAGレーザ(波長:355nm)によるパターンの直接描画を検討し、直線だけでなく、レンズ機能をもつゾーンプレートの作製にも成功した。 2)短波長に感度を示すゲル膜の作製とパターン解像度の向上 光感応性ゲル膜の分光感度と化学修飾剤の構造との相関を明らかにするために、エステル基を含む化学修飾剤を用いてZrO_2ゲル膜を作製した。その結果、これまで検討してきたアセチルアセトンの場合の吸収極大である300nmに対して、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチルの場合では、それぞれ、280nm、275nmに吸収極大を示した。このことより、ケトン基をエステル基に置換すると、その数に応じて、ゲル膜の吸収帯が短波長にシフトすることがわかった。また、アセト酢酸エチルを用いた場合に、1μm程度の微細なパターンを作製することができた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N.Noma, S.Yamazaki, N.Tohge: "Preparation of New Photosensitive ZrO_2 Gel Films Using Hydroxyl-substituted Aromatic Ketones as Chemical Modification Reagents and Their Patterning"J.Sol-Gel Sci.Technol.. (印刷中).