Research Abstract |
ダイナミック型氷蓄熱システムにおける,細氷貯蔵時の氷充填層の透過率変化と圧縮に伴う特性変化について検討を行った.試料には,削氷機で細かくした後,ふるいで選定した氷粒子を使用した.0.5〜1.0mm,1.0〜1.7mm,1.7〜2.8mm,2.8〜4.0mmの4種類の氷粒子を,直径80mm,高さ100mmの円筒管に充填し,0℃の貯蔵層内に24時間保持し,貯蔵前後での充填層の透過率の測定を行った.この際,氷水充填層では浮力に伴う圧縮力が氷に作用することから,細氷充填層に荷重をかけることにより,その充填層の圧縮特性と透過率変化について検討を行った.まず,圧縮特性を把握することを目的として,荷重の大きさと密度の関係について測定を行った.いずれの粒子径においても,貯蔵直後には大きな密度変化があるものの,時間の経過とともに密度の変化が鈍くなっていることがわかった.ここで,圧縮粘性係数の概念を導入することにより,荷重圧力と密度の関係を把握することができた.次に,貯蔵前後での透過率および荷重を作用させて貯蔵した充填層の透過率の測定を行った.その結果,荷重なしで貯蔵した場合と荷重を作用させて貯蔵した場合のいずれの粒子径においても,空隙率に違いはあるものの,空隙率と透過率の関係が同じ係数を用いたKozeny-Carmanの式と良い一致を示していることから,貯蔵後の透過率は,荷重の有無に依存せず,空隙率で決定されることがわかった.以上の結果を踏まえ,荷重の大きさによる空隙率の変化と,その空隙率から貯蔵前後の透過率変化が予測可能であることがわかり,貯蔵直後では空隙率の減少により透過率が減少するものの,貯蔵後半に氷粒子の形状変化などに伴い透過率が増加する特徴的な現象を把握することができた.さらに,実機における貯氷タンクを想定してシミュレーションを行い,貯蔵に伴う細氷充填層の特性を把握を行った.
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