2004 Fiscal Year Annual Research Report
光パルス同期化学気相成長法による高効率薄膜太陽電池作成に関する研究
Project/Area Number |
15560283
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大下 祥雄 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10329849)
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Keywords | 化学気相成長法 / 太陽電池 / 化合物半導体 |
Research Abstract |
GaAsにInを9%、Nを3%添加したInGaAsNは、変換効率40%以上の超高効率4接合太陽電池(禁制帯幅2.0eV(InGaAs)/1.42eV(GaAs)/1.05eV(新材料)/0.67eV(Ge)))用の第3セル材料として期待されている。しかし、現状のInGaAsNは少数キャリア拡散長が短いために、期待される高い変換効率の実現には至っていない。結晶性が悪い原因の1つとして、少数キャリア再結合中心として働く格子間Nの存在が挙げられる。また、結晶中の不純物も残留キャリアや再結合中心の原因となるため、これらも低品位の原因と考えられる。 今年度は、CBE(Chemical beam epitaxy)法を用いてGaAsNの結晶成長を行い、不純物の原因となる分子種の脱離、結晶性の改善を目的として、結晶成長中にハロゲンランプ光のパルス照射を行なった。この時、Gaの原料としてはトリエチルガリウム、Asとしてはトリスジメチルアミノアルシン、Nとしてはモノメチルヒドラジンを使用した。実験の結果、パルス光照射によりGaAsN膜のXRD半値幅が252arcsecから193arcsecに減少し結晶性が向上した。また、ランプ照射により、GaAsN回折ピーク位置が照射しなかった場合と比較して高角度側(0.0856°)となった。これはランプ光照射により、格子間Nが減少し格子位置Nが増加したためであると考えられる。今回の成長条件下では、基板温度が上昇すると窒素濃度は低下する。しかし、得られた結果においては、光照射により格子位置窒素濃度が増加した。すなわち、光照射は熱以外の寄与を結晶成長にもたらした。今後、光照射の影響を詳細に調べ、良質な結晶成長、さらには、高効率4接合タンデム太陽電池の実現を目指す。
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