2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580195
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加古 敏之 神戸大学, 農学部, 教授 (00121533)
|
Keywords | 政策評価 / 参画と協働 / 農林水産行政 |
Research Abstract |
近年、地方自治体において行政評価の動きが多く見られるようになった。こうした動きが進み始めた背景としては、深刻な財政危機にともない無駄な事業の削減や事業の重点化を進める必要性が高まったこと、度重なる不祥事が表面化した結果行政に対する不信感が高まったので、その不信感を払拭するために県民に対してアカウンタビリティの遂行が求められるようになったこと、地方分権の推進にともない地方自治体が政策を形成し、立案する必要性が高まってきたこと、住民サイドからの行政サービス向上の要望に応える必要性が高まってきたことなどを指摘できる。 本研究では、地方自治体における行政評価の事例として兵庫県における農林水産行政を取り上げ、ケース・スタディを行った。兵庫県では平成15年4月に「県民の参画と協働の推進に関する条例」を制定し、県行政を県民の参画と協働により推進することとした。この行政の基本姿勢を実現するためには、行政と県民による県政情報の共有をはじめ、政策の企画・立案、実施、評価・検証の各段階で、県民からの積極的な参画と協働を得ながら、県民とともに県政を推進することが必要になる。この基本姿勢は農林水産行政の推進にも適応される。平成13年に策定した「ひょうご農林水産ビジョン2010」も、これまでの行政主導型の生産振興計画ではなく、県民が「農」のめぐみを享受できる社会の実現に向けて参画と協働により取り組んでいくビジョンと位置づけた。この基本姿勢を具体化するために、農林水産ビジョンのめざす姿の実現に向けて毎年実施した施策の内容の説明や、その施策を実施して得られた効果の内部評価結果等を農林水産審議会等の意見を踏まえて「ひょうごみどり白書」として作成・公表した。この白書をさまざまな機会を通じて県民に提供して、県民から意見を求め、意見や提案などを次年度の農林水産施策に反映させるとともに、農林水産ビジョンの見直しにも利用することが意図されている。施策の企画・立案、実施、評価、の各段階で県民が積極的に参画できる場面を形成するために、県民からの要望に基づく出前講義の実施や各種研修会を開催して白書の説明を行なうとともに、農林水産関係の各種審議会・委員会への公募枠の設定等の試みも検討されている。
|