Research Abstract |
昨年度に実施した実験で生じた問題点を改善するとともに,新たに断熱効果の向上およびシステムの軽量化を図るために,それぞれ,発泡スチロール,椰子繊維製培養土を植栽用培養土に加え,本システムが持つ温度上昇抑制機能について実験的に検討した.昨年度生じた問題点は,以下の2点である.1.上部植栽層コンテナーの排水用穴の不足のために,降雨時に上部に貯留された雨水が下層部へ円滑に流下せず,浸水状態になった.2.妨根シートを敷設したにも係わらず,下部へ根が侵入した.1に対しては,排水用穴数を増やした.これにより,土壌水分の減少が予想されたため,妨根シートを2枚重ね,さらに給水用マットも底面全面に敷設して妨根シートの機能を持たせた. 夏季を中心に,緑化システムの植栽部土壌表面温度,植栽部コンテナー底面温度,システム底面温度,緑化システムを設置していないコンクリート面等で定期的に温度測定を行い,効果の検証を行った.本システムの温度上昇抑制効果については,発泡スチロールを加えたことによる効果の向上は特には現れず,土壌表面温度は,植栽による効果が大きく,概ね15℃程度の低下が見られたが,植栽部下部の温度については,概ね類似した変動状況を示した.また,システム下部のコンクリート温度についても,同様の傾向であった. 軽量化を目的として使用した椰子繊維製培養土は通常の灌水方法では保水性等は問題が生じないが,一度乾燥状態になると撥水性を持つため,底面灌水で灌水する本システムでの利用可能性について実験を行った.下層の貯留部からは十分に水が補給されるが,土壌水分は低くなるため,混合する他の培養土との組合せ方法に留意する必要があることが判明した.
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