2004 Fiscal Year Annual Research Report
腎特異的有機カチオントランスポータOCT2のプロモータ解析による発現制御機構解明
Project/Area Number |
15590128
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
奥田 真弘 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 智先 京都大学, 医学研究科, 講師 (90303825)
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Keywords | 有機カチオントランスポータ / 腎尿細管 / OCT2 / プロモーター / 性差 / テストステロン / 転写調節 / 塩基性薬物 |
Research Abstract |
前年度までに、生理的濃度のテストステロン(1nM)によるラットOCT2(rOCT2)の転写調節に、rOCT2のプロモーター領域(約3.3kb)が関与することを明らかにした。 本年度は、rOCT2の転写活性調節におけるアンドロゲンレセプターの役割解明を図った。ラット腎cDNAライブラリーをテンプレートに、rOCT2遺伝子の5'-末端上流部位を5'-RACE法によって増幅し、得られたPCR産物の塩基配列を解読したところ、rOCT2の転写開始部位は翻訳開始部位の306塩基上流に存在することが判明した。rOCT2のプロモーター領域には、アンドロゲンレセプター応答配列と相同性の高い配列(ARE様配列)が5カ所認められ、テストステロンによる転写活性調節に関与する可能性が考えられた。そこで、rOCT2のプロモーター領域を制限酵素処理によって種々の長さに切断し、ラットアンドロゲンレセプター(rAR)と共に腎由来の培養上皮細胞LLC-PK_1に発現させ、プロモーター活性を測定したところ、rOCT2の転写活性調節には-3,036位〜-819位の塩基配列が関与することが明らかになった。さらに、それぞれのARE様配列に変異を導入し、テストステロンに対する応答を測定したところ、テストステロンによるrOCT2の発現調節には、2カ所のARE様配列(-3,000位及び-1,200位付近)が関与することが示唆された。 これらの結果は、有機カチオントランスポータOCT2(slc22a2)の転写調節機構に関する初の知見であり、カチオン性薬物の腎排泄性差の機構を解明する上で極めて有用と考えられる。
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