2003 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息・肺気腫病態に関与するサイトカインシグナル抑制因子による制御機構の解明
Project/Area Number |
15590814
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 博雅 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (30264039)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 浩一 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (50274444)
松元 幸一郎 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (60325462)
|
Keywords | サイトカインシグナル抑制因子 / 気管支喘息 |
Research Abstract |
気管支喘息でのサイトカインシグナル抑制因子(suppressor of cytokine signaling, SOCS)の役割を検討するため、アトピー性気管支喘息患者の末梢血よりT細胞を分離し各SOCSの発現を解析した。SOCS1やSOCS5の発現は、健常者対照群に比し喘息患者では明らかな差は認められなかった。しかし、末梢血T細胞でのSOCS3発現はアトピー性喘息患者で有意に高値であり、重症度が増すにつれSOCS3発現が亢進していた。 このようなT細胞でのSOCS3高発現の生理的意義を検討するため、lckプロモーターを用いてT細胞特異的にSOCS3を恒常的に過剰発現している(SOCS3-Tg)マウスのT細胞を用いてT細胞分化を解析した。SOCS3-Tg由来T細胞は野生型(WT)マウスT細胞に比べてIL-4発現が増強しIFN-γ発現が減弱していた。SOCS3-Tgマウスを用いて卵白アルブミン(OVA)感作・曝露によるアレルギー性喘息反応を解析した。OVA感作曝露WTマウスでは気道過敏性亢進が認められた、OVA感作曝露SOCS3-Tgマウスの気道過敏性はさらに顕著に亢進していた。OVA感作曝露SOCS3 Tgマウスでは、OVA感作曝露WTマウスに比べて、肺胞洗浄液中好酸球数とIL-4,IL-5 IL-13などのTh2サイトカインが有意に上昇し、末梢血total IgEやOVA特異的IgEは著増していた。以上より、T細胞でのSOCS3高発現は、Th2サイトカインの増加を介して、アレルギー性喘息反応の発症進展に関与していることが示唆された。さらに、SOCS3は、IL-4によりTh2細胞特異的に発現し、Th1分化誘導に必要なIL-12のシグナルを抑制することによりTh2分化を促進して、アレルギー性喘息反応の発症進展に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)