2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しいin vivoバイオフィルムモデルを用いた緑膿菌定数感知機構の解析
Project/Area Number |
15591059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝野 和典 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40202204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 茂 長崎大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 教授 (80136647)
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Keywords | 緑膿菌 / バイオフィルム / 実験モデル / 慢性細菌性感染症 / 抗菌化学療法 / マクロライド |
Research Abstract |
緑膿菌によるバイオフィルム感染症を克服するためには、バイオフィルムのメカニズムの解明や、抗菌薬の効果の検討ばどが必要であるが、これまで適切なin vivoのバイオフィルムモデルがなかった。我々はポリプロピレン製チューブを加工したchamberをマウス腹腔内に留置することで、簡便にバイオフィルムを作成でき、かつバイオフィルムの形態や抗菌薬効果の検討を可能とするモデルを作成した。バイオフィルムモデルの作成は、滅菌したポリプロピレン製1.5mlチューブとセルロース製透析膜でchamberを作り、chamber内を10^5cfu/mlの緑膿菌で満たし、マウス腹腔内に留置することで作成した。留置10日後より1週間抗菌薬(CAZ、TOB、CPFX、AZM)を腹腔内投与し、実際に抗菌薬の治療効果を検討した。治療効果は光学顕微鏡によるバイオフィルム断面の観察とバイオフィルム内生菌数の測定により判定した。バイオフィルム断面厚さの測定の結果、無治療群では厚いバイオフィルムを形成しているのに対し、AZM治療群では統計学的有意差をもって無治療群より減少していた。また生菌数ではTOB、CPFX治療群で統計学的有意差をもって他群より減少していた。これらの結果はこれまで報告されているマクロライド系抗菌薬のバイオフィルム感染症に対する効果や、我々がin vitroで確認したstationary phaseの緑膿菌に対する各種抗菌薬の効果と矛盾しない結果であった。以上のように本モデルを用いることで、これまで困難であった生体内におけるバイオフィルムの厚さの計測や、抗菌薬の効果の評価が可能となった。 今後は本モデルを利用して、DNAマイクロアレー法などでバイオフィルム形成緑膿菌の遺伝子発現を解析するなどの研究を行いたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nagata T, Kaneko Y, Tomono K, Kohno S, et al.: "Effect of macrolides on chronic respiratory infection caused by Pseudomonas aeruginosa with biofilm formation in humans and in an experimental murine model"Antimicrob Agents Chemother. (In press). (2004)
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[Publications] Kaneko Y, Tomono K, Kohno S, et al.: "Overproduction of MUC5AC core protein in patients with diffuse panbronchiolitis"Respiration. 70・5. 475-478 (2003)
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[Publications] Kaneko Y, Tomono K, Kohno S, et al.: "Clarithromycin inhibits overproduction of muc5ac core protein in murine model of diffuse panbronchiolitis"Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 285・4. 847-853 (2003)