2003 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体を分子標的とした新しい乳癌治療薬の開発
Project/Area Number |
15591352
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
沢井 清司 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (80192102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 啓雄 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70275212)
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Keywords | アポトーシス / エストロゲン感受性 / 抗癌剤抵抗性 / ヒト乳癌 |
Research Abstract |
昨年度の研究では、アスコクロリン(ascochlorin ; ASC)の抗癌剤抵抗性ヒト乳癌細胞株(特にエストロゲンレセプター(ER)陰性乳癌)に対する抗腫瘍効果の機序とその特異性について解析を行った。1)まず、既存のヒト乳癌細胞株をER陰性乳癌株(MX-1,KPL-4,MDA-MB-231)とER陽性乳癌株(ZR75-1,KPL-1)の2群に分けて、それぞれに対するアスコクロリンの抗腫瘍効果を、MTT assay, DNA ladder, western blotting法による生化学的な解析とHoechst/PI蛍光二重染色による形態学的解析の両面から解析した。その結果、いずれの群においてもミトコンドリア経路によるアポトーシスが誘導され、抗腫瘍効果がアポトーシスに依存していることが明らかとなった。また、その抗腫瘍活性はER陰性乳癌に対して、より強力であった。2)この結果より、ERの有無がアスコクロリンの感受性に大きく関与していると考えられたため、ER陰性乳癌株であるMX-1細胞にERa遺伝子を導入して、遺伝子導入株を作製し、アスコクロリンの抗腫瘍効果を導入前のMX-1細胞株と比較した。その結果、ERa遺伝子強発現MX-1細胞は、親株に比べて、有意に抗腫瘍効果の抑制が認められた。これらの結果をもとに、本年度は、アスコクロリンのER陰性乳癌細胞株に対するアポトーシスの誘導経路の詳細な機序をinvitroのアッセイ系を用いて明確にし、さらには担癌マウスを用いたin vivoの系で、アスコクロリンの臨床応用の可能性を探る予定である。
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