2004 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体を分子標的とした新しい治療薬の開発
Project/Area Number |
15591352
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
沢井 清司 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (80192102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 哲雄 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70275212)
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Keywords | ascochlorin / breast cancer / apoptosis / AP-1 / Fra-1 / mitochondria |
Research Abstract |
アスコクロリン(ascohlorin ; ASC)は、プレニルフェノール骨格を有する抗ウィルス物質として発見されたが、非常に低濃度(nMオーダー)で各種の抗癌剤抵抗性乳癌細胞等に、強力なアポトーシスを短時間で誘導することが明らかとなってきた。また、最近の研究成果として、ER(-)の乳癌細胞に対して、特異的にアポトーシスを誘導することを発見した。今回われわれは、その詳細な機序と臨床応用の可能性について解析を行った。乳癌細胞株のうち、ER(++)のZR75-1、ER(-)のMX-1およびそのER(α)遺伝子の導入株のtransfectantに対して、ASCを用いて、アポトーシスの側面からASCの抗腫瘍効果の比較検討を行った。ER(-)の乳癌細胞は、AP-1の活性化によりホルモン抵抗性や高い活動性を獲得しているが、ASC(500nM)を24時間暴露すると、MX-1細胞では、他の細胞株と比較して著明なcell viabilityの低下をもたらし、PARPの分解とDNAの断片化を引き起こした。このアポトーシスに伴いcaspase-9,-3が活性化し、cytosolにはc外cytochrome cの放出が認められた。ASCはAP-1活性を著明に抑制することによって、ER(-)乳癌細胞株に特異的に抗腫瘍効果を発揮し、その機序はアポトーシスによるものであることが証明された。以上の研究成果は、2004年日本外科学会総会、2004年日本乳癌学会総会で報告を行った。また、BBRC(Vol.329,No.1,April 2005)に掲載された。
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