2003 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイド受容体を介する脳虚血耐性様効果の獲得に関する研究
Project/Area Number |
15591634
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福田 志朗 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (70322245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 和慶 山口大学, 医学部, 助手 (80314813)
松本 美志也 山口大学, 医学部, 助教授 (60243664)
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
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Keywords | 虚血耐性様現象 / スナネズミ / ナロキソン / オピオイド受容体 / 海馬 / 脳虚血 / 神経細胞傷害 / HE染色 |
Research Abstract |
【目的】短時間脳虚血による虚血耐性様現象におけるオピオイド受容体の関与を解明することを目的とした。 【方法】スナネズミの両側頸動脈閉塞モデルを用い、虚血条件を3群に分けた;(1)Isch群:5分間虚血3日再灌流 (2)PC群:2分間虚血3日再灌流+5分間虚血7日再灌流 (3)NX群:naloxone 3mg/kg iv.投与10分後に2分間虚血、3日再灌流+5分間虚血7日再灌流 スナネズミ雄(週齢12-13週)を14匹用いた。イソフルラン吸入で麻酔導入し、自発呼吸下でイソフルラン1%、酸素30%、亜酸化窒素70%投与し両側総頸動脈を2分間ないし5分間遮断した(側頭筋温37.0±0.5℃)。 再灌流後3日ないし7日後にホルマリン液で脳標本を灌流固定し摘出した。 虚血侵襲による海馬での神経細胞障害を、HE染色により組織学的に評価した。神経細胞の核濃縮および一部空胞化を認める部分とし、下記のようにスコア化した。 スコア0;ほとんど、または全く神経細胞傷害を認めない スコア1;CA1内半側に神経細胞障害を認める スコア2;CA1全体に神経細胞障害を認める スコア3;CA1全体からCA2にかけて神経細胞障害を認める 【結果】 Isch群(n=5)平均スコア2.2 PC群(n=5)平均スコア1.2 NX群(n=4)平均スコア3.0 であった。 【考察】海馬での神経細胞傷害の程度から、Isch群と比較してPC群では短時間虚血による虚血耐性様現象の発現が示唆された。しかし、NX群では虚血耐性様現象はみられず、Isch群よりも神経細胞傷害が強い傾向がみられた。Naloxoneによってオピオイド受容体を介し虚血耐性現象が修飾された可能性あるいはnaloxoneによる直接的な神経細胞傷害の影響の可能性が推測された。今後はmorphine投与によって薬理学的虚血耐性様現象がオピオイド受容体を介して起こりうるかを検討する予定である。
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