2003 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌のプロテオーム解析による新規診断法・治療法の開発
Project/Area Number |
15591701
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中井川 昇 横浜市立大学, 医学部附属病院, 講師 (00237207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 健 横浜市立大学, 医学部附属病院, 講師 (60254166)
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (00260787)
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Keywords | ヒト腎癌細胞 / VHL遺伝子 / MET蛋白 / 腫瘍マーカー / 治療ターゲット / 2次元泳動 |
Research Abstract |
本研究の目的であるヒト腎癌細胞の発癌メカニズムを解明し、新たな治療ターゲットとなりうる標的蛋白を見つけるために、まず、我々はヒト淡明細胞腎癌の原因遺伝子である癌抑制遺伝子VHL遺伝子に注目した。VHL遺伝子が不活性化していることが既に明らかになっている淡明細胞腎癌細胞株と、これに正常VHL遺伝子を高発現させた細胞株を用い、抗リン酸化チロシン抗体でWestern blottingを行なったところ、140kDa相当の蛋白が淡明細胞腎癌細胞株では明らかにリン酸化されているのに対し、正常VHL遺伝子を高発現させた淡明細胞腎癌細胞株ではこの蛋白のリン酸化が抑制されていた。そこで、この蛋白がVHL遺伝子下流にてリン酸化が制御されている蛋白の一つであると考えて同定を試みたところ、肝細胞成長因子であるHGFの受容体であるMET蛋白であることが明らかになった。さらに、実際の臨床検体でも同様の現象が見られるか確認するため、書面にて同意書を頂いた症例の手術検体を用い、正常腎組織と淡明細胞腎癌組織におけるMET蛋白のリン酸化状態を免疫沈降法とWestern blottingを用い確認したところ、臨床検体においても癌組織においてMET蛋白のリン酸化が亢進していることが明らかになった。引き続き、VHL遺伝子下流にてMET蛋白のリン酸化が制御されているメカニズムを解明するとともに、2次元泳動を用い淡明細胞腎癌において特異的に発現している蛋白を同定し、腫瘍マーカー、治療ターゲットとしての有効性を検討していく予定である。
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