2004 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロポレーションを用いた遺伝子導入による網膜保護の研究
Project/Area Number |
15591843
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
溝田 淳 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10239262)
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Keywords | エレクトロポレーション / 網膜 / 遺伝子導入 / ERG / 神経保護 / BDNF / HSP |
Research Abstract |
エレクトロポレーションによる遺伝子や薬物導入を考え、まずエレクトロポレーションによる網膜障害についてラットにて検討した。 刺激幅99msで刺激強度は10,20,30,40,50V/cmにて1回刺激を行い網膜の機能的評価を網膜電図(ERG)を用いて検討した。刺激強度の増加とともにERGのa波b波の振幅の低下が見られた。ただし刺激強度10V/cmではコントロールと比較して両波ともに有意差は見られず。それ以上の刺激強度では特にa波の振幅の低下が著しく、網膜に何らかの障害があるものと考えられた。また形態学的な病変に関しては刺激強度の高い状態でもはっきりせず、少なくとも10V/cmでは異常は見られなかった。そのためこの刺激強度がを用いて実際にエレクトロポレーションを行うことが適当と考えたれた。 まず、神経栄養因子であるBDNFの遺伝子の導入を行い、眼動脈を虚血一過性に虚血し、再還流させて、アポトーシスを生じせしめ、その保護効果についてエレクトロポレーションを行った群と行わなかった群で比較検討した。BDNF自体はすでに虚血再還流において神経保護作用があるものと報告されている。エレクトロポレーションを行った群では網膜神経節細胞の生存しているものが、行わなかった群と比較して有意に多く見られ、エレクトロポレーションにより、遺伝子の導入が可能であり、またその遺伝子の発現が見られたものと思われる。 またヒートショックプロテインでも同様の実験を行いエレクトロポレーションによるタンパクの細胞内への導入が可能であった。 上記結果より、エレクトロポレーションを行うことにより、細胞膜の透過性に変化が起こり、通常の状態では入らないような物質導入が可能になるものと考えられた。
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Research Products
(4 results)