2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15592178
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
大野 紘八郎 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (70014206)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝田 芳信 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20184145)
川崎 堅三 鶴見大学, 歯学部, 教授 (50064374)
|
Keywords | 歯牙形成不全症 / Amelogenesis Imperfecta / ヒト乳歯 / エナメル質形成過程 / 発症機序 / マイクロCT / EPMA元素分析 / DNA抽出 |
Research Abstract |
本年度では、Amelogenesis imperfecta乳歯を試料として、マイクロCTによる立体再構築像、研磨標本による光顕像および走査電顕による二次電子像を観察するとともにEPMAによる元素分析を行って、エナメル質の石灰化度を検索した。エナメル小柱の走行からエナメル芽細胞の動態推移を考察して、Amelogenesis imperfecta乳歯のエナメル質形成過程を明示した。この研究結果は歯の形成不全の発症機序の解明の手助けとなる。本研究は倫理委員会で承試を受け、試料提供者にも研究の目的と試料の利用についてインフォームドコンセントの後、文書による同意を得て、脱落乳歯、口腔粘膜を採取した。脱落乳歯をマイクロCTによる立体再構築像に観察したところ、歯冠全体に凹凸像が観察され、特に唇面で顕著であり、ついで遠心面、近心面、舌面であった。唇面の陥凹部は規則的に歯冠の垂直および水平方向に並んでみられた。研磨標本の光顕像から、エナメル小柱の走行は正常部ではエナメル象牙境からエナメル質表面までほぼ直線的に走行しているが、陥凹部の形成不全部に移行する領域では走行が弯曲し、陥凹部では小柱構造がなく、層板構造を示した。この所見から、この領域ではエナメル芽細胞はトームスの突起を形成せず、しかもライフサイクルも短命であることが推察された。EPMAによる元素分析から、陥凹部の層板構造領域ではリンおよびカルシウムが少なく、マグネシウムが多かった。 この分析結果はエナメル質形成過程の初期エナメル質の象牙質に近い領域ではマグネシウムとカーボネイトの濃度が高いと言われているように、本所見はエナメル質形成過程の初期像と同様の所見がみられた。 口腔粘膜を歯ブラシで擦過して得られた試料から、DNAの抽出を確認したが、引き続いての遺伝子レベルの検索は現在遂行途中である。
|