2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者に対する記憶プログラムの拡充と効果測定及び痴呆高齢者への介入プログラム構築
Project/Area Number |
15592340
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
井出 訓 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (10305922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (70285542)
荻野 悦子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (10292070)
森 伸幸 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (10295917)
内ヶ島 伸也 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助手 (80364264)
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Keywords | 物忘れ / 介護予防 / メタ記憶 / 高齢者 / 認知症 / 自己効力感 / 記憶 |
Research Abstract |
平成11年度より進められてきている本研究も5年目を迎えた。その間、高齢者が豊かで生き生きとした生活を送るために必要とされる記憶力の維持と増進とに焦点を当て、地域で生活をする健康な高齢者をエンパワーすることを目的とした記憶のトレーニングプログラム(物忘れ予防教室)を立ち上げ、その提供と共に、地域における介護予防活動としての物忘れ予防教室の拡充を目標として研究を進めてきた。本年度はその成果の一つとして、札幌市の南区における在宅支援センターと共同して始めた教室が独自の活動として自立して動き始めたと共に、そこに参加された方々を対象とした物忘れ予防教室の成果を、第13回日本海後福祉学会大会において共同研究として発表することができた。トレーニングプログラムは、直接的な記憶力の向上を目指したものではなく、高齢者がプログラムを通じて老化と記憶に関する正しい知識と記憶の補助方法とを学習し、自らの記憶に対する理解と自信とを身につけていくことで、高齢者自身がエンパワーされていくことに目的を置いている。エンパワーメントの一つの指標としては対象者のLocus of Controlに関する変化を見ているが、物忘れ予防教室参加後に有意な変化が見られており、Locus of Cotorolから捉えた高齢者に対するエンパワーメントプログラムとしての効果を、Gerontological Society of America 58^<th>大会において発表することができた。また、地域で指導的な立場にある看護・介護職員が効果的な教室の開催が行えるよう、物忘れ予防教室の指導者マニュアルを作成したが、実際的なプログラムの運営等に関し、指導者養成講座等の開催を要望する声も聞かれ、実際の教室の様子などをコンテンツとするビデオ教材などの作成準備も始めている。今年度は、物忘れ予防教室における活動と平行し、教室の効果測定を行うためのスケール開発に関する研究も行ってきていたが、メタ記憶の測定ツールとして米国で開発されたMetamemory in Adulthood Questionnaire (MIA)の日本語バージョンの作成を現在も進めている。さらに昨年度に、その妥当性の検討として論文発表を行った記憶の自己効力感測定ツール:Everyday Memory Self-efficacy Scale (EMSES)について、さらに精度を高めるべく、札幌市およびその近郊都市に在住の高齢者を対象とした調査を行い、現在論文執筆中である。また、一つの目標として掲げた認知症高齢者を対象とした記憶の介入プログラムの構築に関しては、次年度に英国オックスフォード大学にあるOxford Project in Memory and Aging(OPTIMA)での研修の受け入れ許可を得ることができたので、OPTIMAでの実践を研修する予定としている。
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