2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経および血管細胞可塑性研究を基盤とした膜貫通型受容体立体構造解析システムの創成
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15GS0312
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20112047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 誠 山口大学, 医学部, 教授 (70223237)
林 謙一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90238105)
森田 強 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80403195)
真柳 平 子どものこころの分子統御機構研究センター, 特任助手(常勤) (20432544)
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Keywords | 構造生物学 / 膜ターゲティング / G蛋白質共役型受容体(GPCR) / ミリスチン酸化 / 膜蛋白質クラスター / PSD-Zip45 / 神経前駆細胞 / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
構造生物学の隆興により、X線構造解析や核磁気共鳴法を用いてシグナル伝達分子・細胞骨格蛋白質・転写因子・足場蛋白質など水溶性蛋白質の立体構造が解明されてきた。しかしながら、GPCRを初めとした膜貫通型受容体の構造解析による研究の発展性と応用が期待されているにもかかわらず、構造解析例は限られている。最大の理由は膜貫通型受容体が非水溶性蛋白質であり、可溶化→結晶化→立体構造解析という従来の構造生物学的手段を用いることが困難な点にある。本研究は、我々が現在行っている神経・血管細胞可塑性研究を基盤として生細胞の細胞膜上でGPCRを含む膜貫通型受容体を、改変したPSD-Zip45を用いて細胞質側からクラスター化を行い、このクラスターの高純度精製標品を極低温電子顕微鏡を用いて立体構造解析することにより、普遍的な膜貫通型蛋白質立体構造解析システムの確立を目的としている。本年度は、以下の研究を行った。 1.代表的PSD蛋白質であるPSD-Zip45に同じく我々が発見したPSD-Zip70のN末端側に存在するミリスチン酸化配列を付加し、GPCRの典型であるドーパミンD1レセプターの細胞膜面上でのクラスター化(直径数μm)に成功した。この膜クラスターを精製し、大量精製法が可能になったので、極低温電子顕微鏡による構造解析を開始中である。併せて、ドーパミンD1レセプターの同上クラスター化をさらに改変し、より集積度の高いクラスター化法を見い出し、大量調整に向けた検討を行っている。 2.1)と同様の戦略で、LPA1(LPA受容体)の膜クラスターが可能にとなり、大量調整法に目処がついてきた。 3.神経細胞可塑性研究で神経前駆細胞の細胞増殖・運動に副腎皮質ステロイドホルモンが抑制的に作用することを見い出し、この分子メカニズムがカルデスモン発現増加にあることを明らかにした。この研究は、統合失調症・うつ病・PTSDなどストレスと関連する精神疾患発症の分子機構につながるものと期待される。 4.血管平滑筋細胞可塑性研究で、BMPによる血管平滑筋細胞の骨細胞への異分化は、ホメオ転写因子であるMsxによるmyocardin機能抑制によることを解明した。
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Research Products
(8 results)