2017 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的な輸出漆器の科学分析評価と漆器産地の解明に関する研究
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15H01775
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
宮腰 哲雄 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (00062018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 特招研究員 (10272527)
田端 雅進 国立研究開発法人森林研究・整備機構, その他部局等, 主任研究員 等 (40353768)
本多 貴之 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40409462)
中井 俊一 東京大学, 地震研究所, 教授 (50188869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 輸出漆器 / 南蛮漆器 / 琉球漆器 / 縄文漆器 / 熱分解ーGC/MS分析 / クロスセクション / 漆膜 / ウルシオール |
Outline of Annual Research Achievements |
歴史的な輸出漆器がどのような漆を用い、漆と共にどのような材料を使い、どこで作られたかを明らかにするために熱分解-GC/MS 分析、Sr(ストロンチウム)同位体比分析及びクロスセクション、蛍光X線分析(EDX)などの種々の科学分析を組み合わせて調べるだけでなく、漆塗膜のクロスセクションの層毎をATR-FTIRスペクトルで分析し、下地層及び加飾材をX線マッピング分析で、更には漆器に使われた木胎の樹種同定を組み合わせた総合的な分析システムを構築し、分析評価している。この分析法を駆使して南蛮漆器・輸出漆器の素性を明らかにし、またこの研究を推進するに歴史的な日本の漆器(縄文時代、近世・近代の漆器)、琉球漆器、サハリン・アイヌの漆器、中国及び韓国の歴史的な漆器についても科学分析して、漆の種類、漆とともに使われた顔料、金属箔、金属粉など、また木胎及び下地材など下地構造を調べ、漆に係る分析データを収集してきた。これらの研究成果を論文として発表すると共に学会やシンポジウムでケーススタデーとして研究成果を発表し、分析データを積上げてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況は、当初計画したように研究が進行し、研究成果を積み上げていることから、研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究の最終年度になるので、引き続き歴史的な南蛮漆器や輸出漆器を各種科学分析法で分析評価するだけでなく、漆を利用する文化は日本のみならず、琉球、中国、韓国にもある。それぞれの地域・国では、どのような種類の漆や漆材料を用い、漆工技術で漆器が作られたかを究明する。また、本年度は、これまで得られた研究成果を順次取りまとめ、論文や学会で発表しながら、更なる歴史的な漆器の科学分析し、その素性を明らかにするケーススタデータの事例を増やし、漆の材料情報と漆利用の実態を解明する。更に、本研究の成果は、南蛮漆器や輸出漆器の保存・修復と、それに関わる漆文化の究明研究に貢献するために、本研究成果の活用と、その成果を文理融合と学際的研究で、歴史、美術工芸、(ヨーロッパの)家具などの異分野と共同研究して、漆文化の理解と発展に貢献したいと考えている。
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Research Products
(12 results)