2017 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー視点に立つ「新しい世界史」の構想と「市民教養」としての構築・発信
Project/Area Number |
15H01858
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
三成 美保 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60202347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 眞里子 三重大学, 人文学部, 名誉教授 (00185513)
粟屋 利江 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (00201905)
村上 薫 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究グループ長代理 (00466062)
小浜 正子 日本大学, 文理学部, 教授 (10304560)
香川 檀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (10386352)
鈴木 則子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20335475)
長 志珠絵 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (30271399)
桃木 至朗 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40182183)
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (60189214)
久留島 典子 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70143534)
井野瀬 久美惠 甲南大学, 文学部, 教授 (70203271)
姫岡 とし子 立命館大学, 付置研究所, 研究員 (80206581)
永原 陽子 京都大学, 文学研究科, 教授 (90172551)
富永 智津子 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (90217547)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジェンダー / 世界史 / 歴史教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は研究中間年度としてシンポジウムを開催するとの計画に従い、2017年12月にジェンダー史学会において大会シンポジウム「ジェンダー史が拓く歴史教育ージェンダー視点は歴史的思考をどう鍛えるか?」(於:奈良女子大学)を企画・開催した。ジェンダー史学会でジェンダー史教育を本格的に論じたのは今回が最初である。シンポジウム・テーマとして「高校教育・教科書」を取り上げたのは当初計画に基づく。プログラムは以下の通りであった。「趣旨説明ージェンダー視点に立つ歴史教育の課題:HPの活用を含めて」(三成)、第1部<歴史教育改革とジェンダー―高校新科目「歴史総合」「日本史探究」「世界史探究」への提案>「報告1 ジェンダー視点から見た歴史教育の可能性」(小浜)、「コメント1:女性史とジェンダー史―ジェンダー射程を考える」(長)、「報告2:ジェンダー視点をどう取り入れるか?―高校歴史教育の現場から」(ゲスト)、「コメント2:高校歴史教育でLGBTIをどう教えるか?」(三成)、第2部<歴史を読み替える―ジェンダー視点で鍛える歴史的思考力>「報告3:「家/家族」の社会的機能をどう考えさせるか?―前近代日本史から」(久留島)、「報告4:植民地支配と多様な「近代」―アフリカ史の場合」(富永)、「報告5:戦争・紛争と性暴力」(成田)、「コメント3:高校歴史教育で慰安婦問題をどう教えるか?」(ゲスト)、第3部<総合討論―ジェンダー史の可能性>。ゲスト2名(高校教員)以外はすべて科研費メンバーであり、共同研究成果を十分に公表できた。研究会メンバーの報告では、「テーマ通史」として設定していた「ヒトとモノの移動」に伴う諸現象(交易・文化伝播と支配・侵略・暴力行為など)に焦点をあて、「ジェンダーの動態史」を考えた。総合討論での議論をふまえ、今後は「アジアから問うジェンダー世界史」を発信する方向で研究を深める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
進捗状況は予想以上であり、研究計画を上回る成果を上げることができた。計画以上というのは、以下の点である。計画では中間シンポジウムを予定していたが、今回はそれを学会の全体シンポジウムとして開催することができた。シンポジウム会場には、学会員以外に多くの高校教員が参加しており、活発な意見交換をすることができた。また、シンポジウム成果は、ジェンダー史学会の学会誌『ジェンダー史学』に「特集」として掲載されることが決まった。このように、本科研費研究成果をジェンダー史学会と共有することができたことは大きな成果であったと言える。また、シンポジウムの結果、2018年度の課題として「アジアから問うジェンダー世界史」の構築という目的が鮮明になり、国際シンポジウム開催に向けた準備も進めることができた。2017年度は、12月シンポジウムに向けて数回の準備会を兼ねた研究会を行ったが、その後3月にも研究会を実施した。3月研究会では、HP記事の拡充と今後の課題について議論した。『歴史を読み替える(世界史版)』の補遺記事としてのHP記事は順調に集まっており、今後順次掲載予定である。また、当初は最終年度に予定していた国際シンポジウムについて、2018年度にも準備となる国際シンポジウムを開催する方向で調整を進めており、それをふまえて2019年度に最終的な国際シンポジウムを開催予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、「共時史」の最後のテーマである 10 世紀以前を取り上げる。「テーマ通史」としては、 「歴史認識」といわゆる「文化」を取り上げる。 「科学・美術・教育・法・病」のトピックについて比較通史を検討する予定である。このために、6月に世界的な科学史家を研究会に招聘して議論することが決まっている。また、12月には、イタリアの女性史家とも意見交換の予定である。大学教養教育と専門教育におけるジェンダー史の意義についても考察する。最終年度(2019年度)には、本研究の最終課題である「ジェンダー史的時代区分」を試みるために諸外国からも研究者を招聘して国際シンポジウムを開催し、日本から世界に向けて研究成果を披露する予定であるが、2018年度にはその前段階としてアジア諸国から研究者を招聘して小規模な国際シンポジウムを開催する計画を新たに設定した。これらの共同研究を通じて、「市民教育」プログラムも考案し、「市民教養」としての「ジェンダー史」の構築を完成させるために検討を進める。これらの成果は、比較ジェンダー史研究会HPで国際的にも発信する。著作刊行についてもすでに検討を始めており、2018年度はいっそう具体的な取り組みをする。
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[Book] 歴史のなかの異性装2017
Author(s)
服藤早苗、新實五穂(編)(分担執筆:富永智津子)
Total Pages
280(担当256-270)
Publisher
勉誠出版
ISBN
978-4585226765
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