2015 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおける文化遺産の継承と集団のアイデンティティ形成に関する人類学的研究
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15H01910
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (10192808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和崎 春日 中部大学, 国際関係学部, 教授 (40230940)
慶田 勝彦 熊本大学, 文学部, 教授 (10195620)
Oussouby Sacko 京都精華大学, 人文学部, 教授 (70340510)
亀井 哲也 中京大学, 現代社会学部, 教授 (60468238)
飯田 卓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (30332191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化遺産 / アイデンティティ / 文化人類学 / 伝統 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画第1年度にあたる平成27年度には、調査対象地域における現地研究拠点ならびに海外共同研究機関を含めた研究体制の整備を行ったうえで、現地での予備的な調査を実施した。 ・海外共同研究機関としては、英国の大英博物館並びにイーストアングリア大学セインズベリー芸術センターとの間で共同研究推進の合意に達し、早速それぞれの機関に所蔵されるアフリカ関係の資料についての調査を行った。米国のスミソニアン協会国立自然史博物館とカリフォルニア大学ロサンジェルス校については、メール等でのやり取りを通じて、共同研究体制の整備を図った。 ・現地での活動については、研究代表者の吉田憲司がザンビア、研究分担者の亀井哲也が南アフリカ、慶田勝彦がケニア、和崎春日がカメルーン、ウスビ・サコがマリ、飯田卓がマダガスカル、そして連携研究者の井関和代がエチオピアに赴いた。いずれの調査対象国においても、本年度は、計画の初年度にあたり、当該国の文化遺産の概況を調査し把握したうえで、今後5年間にわたる現地研究拠点機関との研究計画の企画立案に時間を割いた。ただ、すでにこの初年度の調査から、ザンビアやケニアでは、ユネスコの無形文化遺産登録が集団のアイデンティティの在り方に変化を生じさせていることや、マリ、カメルーン、マダガスカルなどにおいては、国内の紛争が文化遺産の継承に少なからぬ影響を与えていることが窺われた。 なお、次年度(平成28年度)に予定しているガーナにおける文化遺産の保存と継承に関する現地ワークショップのため、本年度内に連携研究者の阿久津昌三をガーナに派遣することにしていたが、現地カウンターパートの配置転換により現地受け入れ態勢が平成27年度は整わないことが判明したため、阿久津の派遣を平成28年度とし、ワークショップは平成29年度の実施することとして、研究経費についても一部繰越を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にあたる本年度は、主として現地研究拠点機関や海外共同研究機関との連絡調整と研究体制の整備にあたることとしていたが、いずれも当初の目的を達し、さらに対象国の文化遺産の置かれた状況についても、その態様を把握することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度より、研究代表者・分担者・連携研究者がそれぞれの担当国で現地調査を本格的に開始し、ユネスコの無形文化遺産登録や国内の紛争等、外在的な要因と、文化遺産をめぐる集団のアイデンティティ形成の関係についての詳細な調査を進めることになる。
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Research Products
(18 results)