2017 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Research on Relationships between Cultural Heritage and Communal Identity in Africa
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15H01910
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 館長 (10192808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 哲也 中京大学, 現代社会学部, 教授 (60468238)
飯田 卓 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 准教授 (30332191)
慶田 勝彦 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (10195620)
和崎 春日 中部大学, 国際関係学部, 教授 (40230940)
Oussouby Sacko 京都精華大学, 人文学部, 教授 (70340510)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化遺産 / アイデンティティ / 伝統 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
計画第3年度にあたる平成29年度においては、研究代表者・分担者・連携研究者計7名が、それぞれの担当地域に赴き、現地研究拠点機関・現地研究協力者と共同で、当該地域における文化遺産の現状と集団のアイデンティティ形成との関係についての現地調査を実施した。すなわち、南部アフリカについては、吉田憲司がザンビア、亀井哲也が南アフリカ、飯田卓がマダガスカル、東部アフリカについては慶田勝彦がケニア、西部アフリカについては、和崎春日がカメルーン、ウスビ・サコがマリ、飯田卓がベナン、カメルーン、そして連携研究者の阿久津昌三がガーナにおいて調査を行なった。特にケニアでは、インドや欧米との接触を含む様々な要因によるアイデンティティ形成の多様性と多元性について調査する中で、マリンディにおける諸民族のアイデンティティ継承に関する博物館実践に参加した。 また平成29年度は、研究代表者・分担者・連携研究者のうち6名が参加し、ガーナ、アシャンティ王国王都クマシのマンヒーア王宮博物館において、文化遺産の継承における博物館の役割に焦点を当てた現地ワークショップを開催した。「文化遺産の守り手としての博物館」“The Museum as a Guardian of Cultural Heritage”と題し、吉田、和崎、阿久津、亀井、飯田、サコが発表・司会を務めた。またザンビアから国立博物館機構フレクソン・ミジンガ議長が出席・発表、ガーナからもマンヒーア王宮博物館のジャスティス・ブロビー館長をはじめ4名が発表し、博物館の役割や今後の連携について多くの意見交換を行なった。ワークショップの前後には、ガーナ内の王国を基盤として継承されている有形無形の文化遺産について調査した。 総じて平成29年度は、アフリカ各地の事例から、文化遺産の継承と集団のアイデンティティ形成において、博物館が果たす役割の大きさを再確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度当初に計画した、アフリカ諸地域での調査は、全て計画通り実施されている。特にガーナで開催したワークショップの成果は予想以上のものであった。アフリカ諸国家の中に今なお維持され続けている王国がその文化遺産を継承する際に、博物館が重要な位置づけとなっている/なることを、ガーナ、ザンビア、南アフリカ、マダガスカル、カメルーンの事例から討議することができた。これは王国ではない地域がもつコミュニティ博物館においても応用が可能であり、集団のまとまりを維持する場としての博物館の有用性を再確認することができた。本研究の代表者・分担者・連携研究者がこれまで培ってきた30年以上にわたる協力関係をベースに、こうしたワークショップを成功裡に共同開催できたことは、我々の持つ問題意識がアフリカの現状に即したものであることの証左となるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後とも、研究代表者・分担者・研究協力者がそれぞれの担当地域に赴き、現地研究拠点機関・現地研究協力者と共同で現地調査を実施し、広範な事例の収集と検討考察の深化に努めるとともに、昨年度のような国際的ワークショップを開催し、情報の共有化を図っていく。あわせて、今後は、現地で入手した文化遺産に関する情報を、データベースに登録し、研究成果の国際的共有化を積極的に進めることとする。
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Research Products
(35 results)