2015 Fiscal Year Annual Research Report
アンデスにおける植民地的近代―副王トレドの総集住化の総合的研究
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15H01911
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
齋藤 晃 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (20290926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網野 徹哉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60212578)
渡部 森哉 南山大学, 人文学部, 教授 (00434605)
岡田 裕成 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00243741)
坂本 宏 中央大学, 経済学部, 准教授 (80733261)
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (80337873)
近藤 康久 総合地球環境学研究所, 研究高度化支援センター, 准教授 (90599226)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 民族学 / 西洋史 / 考古学 / エスノヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画どおり、国立民族学博物館と米国のヴァンダービルト大学とのあいだで学術協定を締結した。この協定の締結により、国際共同研究の円滑な推進が可能になった。とりわけ、スティーヴン・ウインキー氏が代表者を務める人文情報学の共同研究と本研究のGISによるマクロ分析を有機的に連動させることができるようになった。 そのマクロ分析では、必要な機材やソフトウエアを購入し、共同作業のための体制を整えた。また、スペインとアルゼンチンとボリビアの文書館で副王トレドの納税額査定記録のオリジナルを入手し、それに基づいてデータベースの作成を進めた。さらに、ペルーとボリビアの地図を入手し、トレド時代の町の地理的同定作業に取り組んだ。 ミクロ分析では、ペルーのワロチリ地方でフィールド調査を実施した。この調査により、トレド時代に建設された先住民の町をすべて同定できた。また、町の立地条件を谷と尾根が連なる複雑な地形と関係づけて考察することができた。 テーマ研究では、研究分担者と海外共同研究者の全員が計画どおり文献調査や遺跡調査を実施した。しかし、分担者の網野徹哉だけは、不慮の怪我のため、予定していたペルーでの調査を実施できなかった。そのため、調査に必要な経費を平成28年度に繰り越した。網野は平成28年8月にペルーに渡航し、担当のテーマに関して集中的に調査をおこない、遅れを取り戻すことができた。 平成27年11月、ヴァンダービルト大学において、「植民地期アンデスの強制移住を再考する」と題する国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムにより、文化人類学・歴史学・考古学の最新の研究動向を把握するともに、諸研究が抱える問題の解決策を探ることができた。平成28年3月には、米国のブラウン大学において講演会を2回開催した。この講演会を通じて、研究者の国際的ネットワークをさらに拡充することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GISによるマクロ分析において、データベースの作成に予想以上の時間がかかり、町の地理的同定作業を年度内に終えることができなかった。その最大の原因は、複数の史料のあいだの記述の食い違いをひとつひとつ解決し、精度の高い情報のみを選別するのに、膨大な時間と労力が費やされたことである。しかし、問題はほぼ解決しており、遅れを取り戻す見通しも立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の経費の一部を翌年度に繰り越したため、本欄には平成29年3月時点における今後の研究計画を記入する。 GISによるマクロ分析に関しては、第1期の目標である基礎分析を終了し、暫定的成果もすでに公表している。来年度以降は応用分析に重点を移す。特に焦点を当てたいのは、集住化以前の民族集団と集住化以後の町の関係である。両者の関係をRDFと呼ばれる人文情報学の記法で記述し、機械による計算処理をおこなう予定である。 ミクロ分析では、昨年度と本年度のフィールド調査で収集したデータの分析を進める。 テーマ研究では、研究分担者と海外共同研究者の各人がふたたび文献調査や遺跡調査を実施する。ただし、本格的な調査はこれが最後であり、年度後半には成果のとりまとめに着手する。 年度末、本研究3回目の国際シンポジウムを開催する。このシンポジウムにおける報告は、最終成果として刊行する論文集の土台となる予定である。
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Research Products
(36 results)