2016 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のｗｅｌｌ－ｂｅｉｎｇ格差の生成プロセス解明とソーシャル・キャピタルの研究
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15H01972
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| Research Institution | Chiba University |
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Principal Investigator |
近藤 克則 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20298558)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 千代栄 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年社会科学研究部, 室長 (40402250)
斉藤 雅茂 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (70548768)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 社会科学 / 社会学 / 社会福祉学 / 高齢者福祉 / 介護予防 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2003年度以降，介護保険者である市町村の調査への協力を得るため，介護保険事業計画を立案するために必要な調査を兼ねる形で調査を繰り返してきた．2013年度に第6期介護保険事業計画策定のためのニーズ調査を兼ねて，高齢者約20万人を対象に調査を行い，約14万人から回答を得ていた（回収率70％）．
2016（平成28）年には、これらの自治体に再度協力をお願いし，第7期介護保険事業計画の立案に向けた調査が必要となるタイミングに合わせて，大規模調査を行う準備を進めた．
その結果，39市町村において，調査対象者を平成28年度4月1日時点で65歳以上である高齢者276,469人とし，郵送自記式質問紙調査法で，平成28年10月～平成29年2月にかけて回収数194,042票（回収率70.2％），有効回収数186,406票（有効回収率67.4％）を得ることができた．
平行して既存データを活用して，保険者である自治体の関心の高い介護予防のための手がかりを得るためのコホート研究や生活圏域毎の介護予防ニーズと資源に着目した分析を進めた．その他，学術的に重要と考えたライフコース疫学研究を進め，子ども期の社会経済的要因が高齢期にも影響を残していることなどを明らかにした．
これらの結果を論文や学会発表演題として国内外で発表するとともに，プレス発表をして社会にフィードバックした．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2016年度は，想定以上に多くの市町村の協力が得られ，調査受託費も増えたため，公的研究費だけでは不可能だった約30万人規模の大規模な調査を行うことができた．日本国内だけでなく，国際的にも例のない大規模で，多地域間比較が可能な社会疫学的な高齢者調査を行うことができた．
また既存データを用いた分析でも，１）今までの調査協力自治体の既存データと結合したパネルデータを活用した，うつなどのwell-beingに関する重要なエンドポイントの新規発症リスク因子の解明（Tani 2016など），２）多地域にネストされたマルチレベル分析が可能なデータを活用して，個人レベルによる要因の影響を調整した後にも，ソーシャル・キャピタルなど地域環境要因によって，well-being（幸福・健康）が影響を受けていることを明らかにできた（Koyama 2016など）．３）一部の市町村ではあるが，健診データの提供が得られ結合ができたことで，高血圧や重度糖尿病の有病率とソーシャル・キャピタルとの関連を明らかにできた．４）多くの研究者から問い合わせをもらっていたソーシャル・キャピタル関連指標について妥当性を検証した指標群を発表できたこと（Saito 2016）は，今後のソーシャル・キャピタル研究に寄与するところが大きいと考える．5）地域介入研究で，社会参加するようになった人たちで7年間の認知症の発症が3割抑制されていたことを報告できた（Hikichi 2017）. 観察研究のみでは，逆の因果が否定できないが，地域介入研究でソーシャル・キャピタルによる健康保護効果を検証できたこと，予防策が期待されている認知症の発症も抑制可能であることを実証できた意義は大きいと考える
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| Strategy for Future Research Activity |
2017年度は，2016年度に実施した大規模な調査データを分析できるようなデータとして整備する．具体的には，１）既存データと結合したパネルデータとして， 2016年のwell-being（幸福・健康）をエンドポイントとした分析を可能とする．特に，一部の市町村では3時点パネルデータとなることから，より強い因果推論が可能となる．2）新規市町村を多数加えた，大規模データの横断分析で，ソーシャル・キャピタルなど地域環境要因とwell-being（幸福・健康）との関連についての分析の検出力を高め，従来得られていた関連の再現性の検証や新たな知見の創出を図る．３）新規に加えた調査項目について，例えば終末期ケアなどに関する分析を進める．4）笑いの効用やライフコースなど，2013年調査から拡充した項目を用いた縦断分析を進め，より強い因果推論を行う．5）より多くの市町村から健診データの提供を得られる見込みが立ったので，バイオマーカーをエンドポイントとする分析を進める．6）高齢者の生活圏域である小地域の環境要因に着目し，GISを用いた地域レベル変数を説明変数とする分析も進める．7）10を超える市町村からボランティア参加意向者調査が実施できたので，高齢者のボランティア参加に関わる要因の分析を進める．8）サロン等の通いの場への参加者を対象とする調査も10を超える市町村で行えたので，これらの人たちのwell-being（幸福・健康）の高さについての検討も進める．
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